仮面ライダー、ウルトラマン、スーパー戦隊など、日本には特撮ヒーローが驚くほどたくさんいる。80年代から90年代は、スーパー戦隊ものが金曜日の夕方、そしてメタルヒーローものは金曜日や月曜日のゴールデンタイム、日曜日の朝などに放送されていた。


メタルヒーローシリーズは、その名の通り他のヒーローシリーズと比べてややメタリックよりできらびやかに光るボディが印象的だった。

メタルヒーローシリーズ


昭和最後のメタルヒーローシリーズ「世界忍者戦ジライヤ」の異色すぎた内容
画像はAmazonより

メタルヒーローシリーズには『宇宙刑事ギャバン』をはじめとする「宇宙刑事シリーズ」や『特警ウインスペクター』をはじめとする「レスキューポリスシリーズ」、『重甲ビーファイター』をはじめとする「ビーファイターシリーズ」というシリーズがあるほか、『特捜ロボ ジャンパーソン』など単体ヒーロー群も存在する。

いずれのヒーローもメタリックな装備を身にまとって地球の平和を守っていたが、そんなシリーズにおいて、異色のヒーローが混じっていた。それが昭和最後のメタルヒーローシリーズとなった『世界忍者戦 ジライヤ』だ。

シリーズの中でも異色の存在


『世界忍者戦ジライヤ』はその名の通り忍者がモチーフだった。同作のストーリーは、代々守り続けてきた秘宝の在り処を示す粘土板を守ってきた戸隠流忍者一族(主人公一族)と、私欲にまみれた妖魔一族(元身内)との争いであり、それぞれの正義のために秘宝を探す世界忍者たちも巻き込んだ言ってしまえば大がかりな揉め事だった。宇宙規模でドンパチしていたこれまでのメタルヒーローシリーズとは、メタリックさ皆無の見た目も、話の路線も大きく異なるものとなった。

忍のくせに、一切その姿を隠す素振りを見せずに派手に戦う姿に、当時幼少だった筆者も「なぜ?」と疑問に思うこともあったが、しかしそんな疑問を忘れさせるくらいに彼らのアクションはかっこよかった。

強烈な個性を放つ世界忍者の面々


昭和最後のメタルヒーローシリーズ「世界忍者戦ジライヤ」の異色すぎた内容
画像はAmazonより

燃えるような真っ赤なボディに金色のマスク、肩当てと、忍者としては致命的なほどに目立つ見た目の主人公ジライヤ。ジライヤにとどまらず、同作には忍者というには強烈すぎる個性を持った世界忍者が数多く登場した。

イギリスの「城忍 フクロウ男爵」は十字軍の血をひく忍者。どこにでも白馬に乗って登場する。トルコの「牢忍 ハブラム」は宮殿を守るモヒカン頭の怪力忍者でどこでもコーランの祈りを欠かすことなきイスラム教徒だ。

さらに、ロケットを模した頭巾をかぶる全身真っ白のロケットランカー使いの「爆忍 ロケットマン」や、全身ブルーデニムの賞金稼ぎ、マグナム銃の使い手「雷忍 ワイルド」はともにアメリカ忍者。
忍者なんだから個性が強すぎるのも考えものだと思う。というか、忍者なのに全員忍んでいないじゃないか…。特撮ヒーローものであるからして、そのようなツッコミは野暮なことなのかもしれない。

これまでのヒーローはサポートしてくれる味方はおれど、戦地で戦うのは基本主人公だけというケースが多かった。しかし、ジライヤでは昨日の敵は今日の友、世界忍者たちが味方になってくれるというアツい展開が多く見られたのも特徴だ。

瞬時に変身できた他のメタルヒーローたちと比べて、変身時にスーツを自分でカパッカパッと取り付けるというのもハイテク要素はかなり減退している。公式にメタルヒーローシリーズに数えられるにもかかわらずメタルな要素はほぼ皆無のジライヤだったが、日曜の朝から子どもをアツくさせてくれた立派なメタルヒーローだった。

(空閑叉京/HEW)
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