今年はヒロインを務める映画が続々と公開予定と、
活躍の場を広げている女優・広瀬すず。
このたび2度目の声優出演となる『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』が
8月18日(金)より全国ロードショーとなる。

映画の公開にあわせ、その舞台裏と、作品にかける意気込みを独占インタビュー!
広瀬すずの声に独特の「色気」がある、本当の理由。の画像はこちら >>
写真を拡大 岩井俊二原作の名作『打ち上げ花火、下から見るか? 横からみるか?』がアニメ映画としてこの夏リメイク。主人公・なずなの声を、女優・広瀬すずが演じる。「もっと長く、この世界にいられたらいいのに…。」

 昨年は『ちはやふる -上の句-』で日本アカデミー賞・優秀主演女優賞を受賞。10代にして若手女優トップクラスの活躍を見せている広瀬すず。彼女がスターダムを駆け上がるきっかけの一つとなったのが、2015年の劇場版アニメ『バケモノの子』での声優初挑戦だ。8月公開予定の映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』は、二回目の声優への挑戦となる。

広瀬 『バケモノの子』のときは、セリフをいつ言えばいいかも分からなくて、ひと言喋るだけで震えるような感じでした。とても楽しかったですが、一番緊張した仕事でした。今回は登場シーンも多い主人公役で、プレッシャーも感じましたが、収録が終わった時は「もっとこの世界にいたいのに」と思えるくらい楽しかったです。

 原作は岩井俊二監督が1993年に手がけたテレビドラマ作品。彼女もその世界観に衝撃を受けたそうだ。

広瀬 小学生が主人公の物語なのに、私が声を演じたなずなは、妙に色っぽい雰囲気があるんです。

でも会話は可愛らしいし、純粋な気持ちから駆け落ちのような行動に出たりもする。今のドラマにはない空気感で、とても心惹かれる作品でした。

 彼女の演じるなずなは、母の再婚により転校が決まった中学生。花火大会の日、一緒に花火を見る予定だった同級生・典道を「かけおち、しよ」と誘い、母からの逃亡を試みる。

広瀬 彼女は自分のことをあまり話さないけど、お母さんへの気持ちを整理できていないことも、きちんと理解している。だから心にゆとりがあって、男の子を手のひらで転がせるような余裕もあるのかなと思いました。

私はそこまで極端ではないですが、自分の内面的なことは2割ぐらいしか話さないタイプなので、気持ちが理解できる部分もありました。

 同級生・典道を演じるのは、今回が声優初挑戦となる菅田将暉だ。

広瀬すずの声に独特の「色気」がある、本当の理由。
写真を拡大 広瀬さん演じるなずな(右)に想いを寄せる少年・典道(左)を、声優初挑戦となる菅田将暉さんが演じる。ふたりは初の共演。

広瀬 菅田くんとは初の共演で、ふたりのシーンがほとんどでした。収録は3日間だけでしたが、「遠すぎず近すぎず、だけどなんかそばにいる」という絶妙な距離感は、典道くんとの関係に近くて、そのドキドキした感じが声にも出ていると思います。

 

女優・広瀬すずの声に「色気」が宿る理由。

 広瀬すずの声は、不思議と耳に残る。自身は「なんか変な声をしてるなと思います(笑)」と語る。

広瀬 今の事務所に入ったとき、マネージャーさんに『声の8割が息』って言われて(笑)。

でも、ときどき周囲の方から『声がいいよね』って言ってもらえることもあって、誰ともかぶっていない声らしいんです。だから今回の映画は、声だけなのでなずなが自分のままで、「もっとテクニックがあったらいいのに」と強く思いました。

 そんな彼女の特徴である吐息の表現は「疲れとか、喜びとか、色っぽさも表現できるもの」でもある。

広瀬 たとえば今回の作品だと、典道くんに「どっちでしょう?」と言うところ。その「しょう」のところで、少し息が入った感じの声が出せたら、なずなの色っぽさが出せるかな、と思って演じました。またアニメーションのお芝居は、独特の言い回しがあると思いますが、今回は映像のときとほぼ同じように演じることを意識しました。

もともと人間が演じたドラマですし、どこかに人間の生々しさみたいなのは残しておきたくて。

 また本作には、ふたり乗りの自転車で坂道を駆け下りたり、電車で駆け落ちをしたりと、キラキラした青春を感じるシーンがたくさんある。

広瀬 プールサイドで寝ているなずなの顔にトンボがとまり、典道に「つかまえてよ」と言うシーンは、なずなの色っぽさが印象的で。ゆったりしたセリフに余裕も感じられて、すごく素敵なシーンだなって思いました。

広瀬すずの声に独特の「色気」がある、本当の理由。
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 今回の映画化にあたっては、『モテキ』『バクマン。』の監督の大根仁が脚本を手がけているのも特徴。中学生らしいギャグや下ネタ等も適度に織り交ぜた、軽快でテンポのいいセリフのやりとりが印象的だ。

広瀬 大根さんが書いたからこそ、映画っぽい会話が多くなったと思います。何気ない日常会話を多く描いているので、時間がゆったり流れて見えて、そこが素敵な作品だなと感じました。

 そしてこの映画では、中盤以降に時間軸を飛び越えた驚きの展開が待っており、広瀬すずも新たな挑戦を見せている。その様子は劇場のスクリーンで体感してほしい。