土曜ナイトドラマ「オトナ高校」(テレビ朝日 土 よる23時5分〜)
脚本:橋本裕志
演出:瑠東東一郎 山本大輔
出演:三浦春馬 高橋克実 竜星涼 松井愛莉 山田真歩 夕輝壽太 杉本哲太 正名僕蔵 黒木メイサ

第4話 11月11日(土)放送

三浦春馬VS歌広場淳 三浦春馬VS城田優へ


勉強や仕事はできるが、恋愛下手で、30歳過ぎても未経験という不器用なオトナたち(やらみそ)が、“オトナ高校”という、少子化を阻むための国家規模のシステムのもとで教育されていく日々を描く、異色の学園コメディー「オトナ高校」。
野球で1週間遅れて放送された第4話は、1泊2日の合宿旅行(混浴つき)のもようが描かれた。
「オトナ高校」4話。三浦春馬の笑顔と身体のひねりよ。城田優登場でますます盛り上がる
「オトナ高校」テレビ朝日

海援隊を歌いながらのバス移動、バーベキュー、浴衣で夕食、温泉・・・とイベント感満載のなかで、チェリート(三浦春馬)とスペア(黒木メイサ)がちょっといい感じになりかかる。


放送中、主演の三浦春馬とスタッフが、Twitterのドラマ公式アカウント宛の質問にリアルタイムで回答する企画「リアルタイムツイート祭り」も1週遅れで行われ、三浦春馬ファンが歓喜するなか、歌広淳@junjunmjgirlyが、“公式よりもツイートするのが目標”と「オトナ高校」実況tweetを行い、なぜか、三浦春馬VS歌広場淳の熾烈なツイート争いの様相を呈し、ドラマとTwitterを同時に見るのが忙し過ぎる状況に。
ヒートアップしたまま、ドラマの最後には新キャラ役で城田優が登場。話題は一気に三浦春馬VS城田優に。
どれだけにぎやかな1時間だったことか。

「オトナ高校」は、こういったSNS連動がにぎやかしに終わらず、肝心の映像のクオリティーがとても高く、それによって、単なるおバカでエッチなB級学園コメディーとして一蹴されないところがいい。
4話も、三浦春馬が華麗に廊下から教室に滑り込むタイトルバックに突入する導入部の出来が気持ちよかった。
この最初の5分だけでも見る価値がある。
また、体位の勉強で、三浦春馬と黒木メイサが実演する(もちろん着衣で)場面で、いちいち、イエーイ!というSEが入るバカバカしさも堪らない。

内容自体はたわいないといえばたわいない。簡単に言ってしまえば、1泊2日の合宿研修旅行が行われ、なぜ未経験なのか謎だったサショー(高橋克実)とヤルデンテ(夕輝壽太)の真実が、キンキラキンの御仏の前で明かされる(ロケーションが最高)。
ヤルデンテは男性が好きで、サショーはデリケートな身体的な問題が原因だった。
まあ、なんとなくそんな予感もしていたが、さらに予感的中だったのは、ヤルデンテはチェリートが好きで、「千人斬り」という嘘の告発をしたのも彼だった。


3話のレビューで“もっとも、犯人がヤルデンテではあまりにわかりやすいので、ミスリードという可能性もある。”と書いたが、全然ミスリードじゃなかった。深読みし過ぎた。

いろいろ先が見えてやすいとはいえ、その運びがうまいのと、何度も書くが画のクオリティーが高いので、
気にならない。
現在、トム・ストッパードの「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」という舞台が都内で上演されている(主演は生田斗真と菅田将暉)。それに「信じることができるものは──見たいものなんですよ」という台詞がある(小川絵梨子訳 ハヤカワ演劇文庫)
「オトナ高校」はまさに、その台詞どおり、視聴者が見たいものをまじりっけなしに見せてくれているのである。

とはいえ、さすがに、これ以上パターンが続くと飽きそうなところを、強烈な新キャラ・城田優(あだ名は王子、総理大臣の息子)を投入するところも気が利いている。
城田優は、映画化もされたドラマ「SPEC〜警視庁公安部公安第五課未詳事件特別対策係事件簿〜」(10年)で、東大大学院生で頭がとてもいいが、他者の気持ちがわからないやばい人を演じたこともあるので、イケメンなのに未経験キャラもおもしろく演じてくれそうだ。
「オトナ高校」4話。三浦春馬の笑顔と身体のひねりよ。城田優登場でますます盛り上がる
「オトナ高校」テレビ朝日

三浦春馬はどこまでおもしろい動きができるのか


城田がかつて演じた、頭がいいけど人の気持がわからないやばい人は、チェリートとも少々かぶる。
頭はいいけど、コミュ障なチェリートくん。
さくら先生(松井愛莉)に、相手の言葉の裏を洞察するようにアドバイスされると、たちまち、自分に都合のいいようなことばかり考えて増長する残念さ。

その果てしない妄想を、ものすごくよく動く顔で表現する三浦春馬。回を増すごとに、疲れを見せるどころか、
ますます表情豊かになっている気がする。で、それを撮るカメラも、すごいアングル(極度な俯瞰とか)で迫る。
傑作だったのは、ビールのジョッキを運ぼうとして転んでしまうときの、三浦春馬の笑顔と身体のひねり。
よくこんなふうなポーズで倒れていけるものだ。

さて、経験しないと卒業できないオトナ高校。しないまま学校を出ようとすると、公安に留置されてしまうという厳しさだ。
三浦春馬(チェリート)は国家の期待に応えることはできるのか。
もうひとりのイケメンなのに未経験者・王子は首相の息子ということだし、国家機密とかかわりはあるのだろうか。
(木俣冬)
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