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「バナナフィッシュ」美形であることは呪い。呪いから生まれる罪6話

2018年8月16日 09時45分 ライター情報:たまごまご
いい再現と改変だった!
珍しく出てきた貴重な女性要員ジェニファは、原作では洋服をむしられ、男たちに襲われたことがほのめかされていた。ここはカットされ、性的に奪われる人間をアッシュだけに絞り込んだ。
原作には旅の途中鶏を盗む場面があった。これもアニメではカット。人気のあるシーンなので、予告編に盛り込んだ。アッシュの哀しみに焦点をあてて話をブレさせない、アニメ版の粋な計らいだ。
吉田秋生「BANANA FISH」6巻表紙。六話はケープコッド編。アッシュの過去の話が明かされる

美人の呪い


父親がアッシュのことを「あばずれ」と呼んだのは興味深いところ。
本来は品行が悪い人間全体をさす単語だが、俗語としては大抵「不貞な女性」の蔑称。
実際、アッシュは生きるため男娼として生計を立てていた。大人の男性でも女性でもない、性別「美少年」にはまる単語だ。

ディノやその部下、監獄の囚人にも性的に襲われていたアッシュ。
彼の描かれ方は、ゲイ文化より日本の衆道の雰囲気に近い。
衆道では、15から18歳を「盛りの花」と呼んでいた。アッシュは17歳だ。

7歳のころ、アッシュが地元の名士に虐待され犯されていたことが語られる。警察は名士だからと、手を出さず不問にするどころかアッシュのせいにまでした。
父親は生き延びる術としてアッシュに、今後はなすがままにされろ、そのかわり金をもらえ、と言ったことを自白する。
アッシュがその男を父の銃で殺害したあと、地下室からゴロゴロ子供の骨が出てきたという。
青ひげというか、ジル・ド・レイ。

かなり際どい話だが、ここは絶対カットしてはいけない部分だ。
アッシュの抱えた呪いの始まりだからだ。

アッシュは天才的頭脳、容姿、身体能力、全てにおいて完璧な美しさを持っている存在として扱われている。
美しいということは、呪いだ。
多くの人に目をつけられ、奪わんとする人間も出てくる。美女として讃えられたマリリン・モンローも、性的な児童虐待にあっていた過去があるそうだ。

呪いを退けるために、生きるために、アッシュは人を殺した。逃げ出して自分のために戦った。
彼は絶対に罪のない人を傷つけない。敵ですら、戦う意思を失ったら解放する。闇社会では、優しすぎる行動。
とはいえアッシュの犯した殺人の数々は、どんなに自己防衛でも罪は罪だ。

美しいがゆえに幼少期から今まで大人たちの性に呪われ続け、呪いから逃げるために罪を背負い続ける。それでも決してひねくれて悪の道に進まない姿は美しくて、大人たちに追われ……という地獄のようなループ。

一瞬の幸せ


ケープ・コッド編では、今までになかった彼にとても貴重な「幸せ」の一瞬がある。

ライター情報

たまごまご

フリーライター。「ねとらぼ」「このマンガがすごい!WEB」などで執筆中。ひたすらに、様々な女の子の出てくるマンガを収集し続けています。

URL:たまごまごごはん

「「バナナフィッシュ」美形であることは呪い。呪いから生まれる罪6話」のコメント一覧 3

  • 匿名さん 通報

    >2人の会話は、大人と子供、アメリカ人と日本人、犯罪社会の人間と平和社会の人間、という対比がもろに出ている  確かに興味深い

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  • 匿名さん 通報

    >好意以上の複雑な思いがありそうだ。   それは、何なのでしょう?気になります。

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  • 匿名さん 通報

    >衆道では、15から18歳を「盛りの花」と呼んでいた。   初耳でした!

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