今回記事でご紹介するのは山野井健五作画、『まんがで読む平家物語』 (学研学習まんがシリーズ)のあらすじです。
『まんがで読む』シリーズは歴史に興味のある児童向けに、国内外の歴史をわかりやすくコミカライズした作品で、『まんがで読む平家物語』は源平合戦の時代背景や本編を補足するコラムが付随した、充実の内容となっています。
※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。
『まんがで読む平家物語』のあらすじ
従来の『平家物語』は源平合戦(げんぺいかっせん)を主題にした口伝の音曲で、諸国を漫遊する盲目の琵琶法師(びわほうし)によって語り継がれてきました。
平家一門出世のきっかけを作った立役者である平忠盛(たいら の ただもり)は、若くして頭角を現し昇殿を許されたものの、帝の寵愛を得たことで貴族に妬まれ、危うく闇討ちに遭いかけました。
忠盛は腰に差した短刀で刺客を牽制し、無事謁見の任を全うします。
忠盛の没後三十六歳で家督を継いだ平清盛(たいら の きよもり)は、一族の女子を政略結婚させることで有力貴族と姻戚関係を結び、親類を次々要職に取り立てます。
平家の台頭を快く思わない者も増え始め、清盛の奇行は特に不興を買い、宿敵の源氏(みなもとうじ/げんじ)はもとより、疫病や天災に苦しめられていた民衆の反感を招きました。
清盛は激情家で気分屋、その上好色な人物であり、「平家にあらざるは人にあらず」の歌を詠むなどして、周囲に敵を作りがちだったのです。
朝廷を私物化していると非難された清盛は、出家して第一線から退き、裏から政治を操る方針に切り替えます。
とはいえ隠居中も行いは改まらず、白拍子の祇王と戯れ、彼女に飽きたら仏御前に乗り換え、元愛人を尼寺送りにしました。
高倉天皇(たかくらてんのう)の即位後はますます付け上がり、嘉応二年には平資盛(たいら の すけもり)が摂政・藤原基房(ふじわら の もとふさ)とすれ違った際に下馬しなかった無礼を咎められ、血気盛んな両陣営が激突する事件が発生。
痛み分けの報告を受けた清盛はたちどころに報復を命じ、基房を待ち伏せ、袋叩きにします。
治承三年、清盛によるクーデター勃発。
関白・藤原基房と太政大臣・藤原師長(ふじわら の もろなが)を流刑に処し権力中枢から遠ざけ、犬猿の仲の後白河院の幽閉に成功すると、待ちに待った清盛の天下がやってきました。
高倉天皇は清盛の娘・平 徳子(たいら の とくし)を正室に迎え、安徳天皇(あんとくてんのう)が誕生したものの、これ以上の専横はさすがに目に余ると反勢力が結集しました。
反乱の首謀者・源頼政(みなもと の よりまさ)は後白河院の三男・以仁王(もちひとおう)に協力を呼びかけるも、それが清盛にばれ、間一髪女装させた以仁王を逃がしました。
以仁王を匿った三井寺は延暦寺に加勢を頼み、清盛邸に夜襲を企てます。