契約問題をめぐって芸能人と所属事務所とのトラブルが絶えない韓国で、新たな確執が発覚して話題になっている。それも、今度は芸能界とスポーツ界にまたがるトラブルだ。

女性格闘家、ソン・ガヨンが、所属するスバクE&Mに専属契約解除を要求したのだ。

 ソン・ガヨンは1994年生まれの20歳。高校時代から総合格闘技を始め、2014年8月に韓国の総合格闘技イベント「ロードFC」でプロデビュー。日本の山本絵美を1ラウンドでTKO勝利する華々しいデビューを飾り、その美しいルックスもあって、多数のバラエティ番組にも出演。韓国では“美女ファイター”“美しきすぎる格闘家”“美貌の女戦士”として知られている。

 そんな彼女が突如、弁護士を通じてスバクE&Mに契約解除を通告。
スバクE&Mは「ロードFC」を運営しており、芸能プロダクションとしての機能も持つ会社だが、そんな所属事務所に対して、「デビュー戦前のテレビ出演などをたびたび強要され、出演料なども支払いと管理義務が履行されない。アスリートとしての能力向上のための教育も実施してくれなかった。広告、イベント、テレビ出演などの事前通達がなく、テレビ番組出演料も2カ月以上も未払いで、人格権、パブリシティ権、自己決定権も侵害されただけでなく、7年という不当な長期契約も交わされている」と契約解除を求めたのである。

 これに対し、スバクE&Mも黙っていない。「デビューからわずか1年で多数の有名番組に出演するなど、韓国総合格闘技の15年の歴史で異例のスターに成長できたのは会社の献身的な支援と努力があったから」「むしろ彼女が練習を数十回不参加するなど、アスリートとしての基本を忘れた。公式行事や非営利的な公益活動にも参加しなかった。
そのたびに注意をしたが、連絡を断つなど理解できない態度をとった」と反論。しかも、「19歳のころから特定の選手と持続的に不適切な関係にあり、公私を区別できず特別待遇を求めてきた」と、プライベートを暴露し、その人格を否定するような強硬策に打って出たのだ。

 これにはさずかに同じ格闘家たちも同情的で、同じリングで戦う総合格闘家のソ・ドゥウォンは自身のTwitterで「これはひどい」と、スバクE&Mの対応を批判。同じく総合格闘家のキム・ジフンもFacebookで、「いいときだけ“俺たちは家族だ”と言うくせに。本当に汚い」と、ソン・ガヨンの援護に回っている。俳優のチョン・ジュンも、「ガヨン、世の中にはいい大人もいる。
世の中は真実が勝利することを忘れるな」とエールを送っている。

 もっとも、韓国のネチズンたちのすべてが麗しき美人格闘家を擁護しているわけではない。ネチズンたちは彼女と「不適切な関係」にあったという特定選手の割り出しに躍起だし、とあるネチズンは、まだ20代前半で格闘技に専念してきたソン・ガヨンが法律事務所を通じて内容証明まで発行する手際のよさを理由に、「彼女の人気に目を付けて横取りスカウトしようとするほかの芸能事務所の手引きではないか」と、背後に大手芸能プロダクションがあるのではないかと示唆している。

 いずれにしても、人気美女ファイターに出演料未払いや長期契約が強要されていたという事実も衝撃的だが、それが私生活暴露や人格否定までに発展するのだから韓国の泥仕合は恐ろしい。

 ちなみに韓国の“美しすぎる格闘家”はプロ2戦目で、日本の高野聡美にTKO負けを喫しているが、このバトル、KOされるのはどちらだろうか?