これまでの常識を覆すラジコンカーが登場した。その名は「エアロスパイダー」。
なんと壁にはり付いたまま登ったり降りたり、テーブルの裏面も自由に走行できるという性能が特長だ。

 その動きを初めて見ると驚かずにはいられない。実際の動画を見ればその感動がおわかりいただけるだろう。



 なぜ壁を垂直に移動したり、テーブルの裏を落下せずに走行したりできるのか? それはボディ底部から掃除機のように空気を吸い込むことで壁面に吸着し、空気を吸い付けながら走っているから。

 吸引力が強すぎると走らないし、弱すぎると落ちてしまうわけだが、この吸引力と走行性のバランスがこの未体験の走りを実現しているのである。

 この新感覚のラジコンカーについて、販売元のタカラトミーはどのように捉えているのだろうか?

「普通のラジコンは、速く走らせたり、カスタマイズしたりという喜びがありますが、エアロスパイダーは、まずビックリするというバラエティーグッズの要素があります。
大体、壁がレース場になるなんて考えられないじゃないですか。自分が驚くだけではなく、他の人にも見せたくなるというワクワク感を共有できる商品です」(同社 ボーイズトイチーム 石橋紀幸氏)

 販売面でも期待値は高い。社団法人日本玩具協会の発表によると、ラジコン玩具が含まれる「男児玩具カテゴリー」の昨年度総売上高は約500億円。その中で「エアロスパイダー」の今期販売目標は、実質6ヵ月にも拘らず25万個だという。同社の大ヒット商品である「ヘリQ」の販売数が約1年で50万台なので、かなり強気な数字といえるだろう。

 これらのことからも、従来のラジコンカーという枠だけでは収まりきらない商品として、同社の期待を背負っていることが窺える。


 ちなみに、現在のラジコン玩具の売上を支えるのは、実は子どもではなく成人男性だという。

「一番多いのが30代男性、その次が20代男性、40代男性、そして小学校低学年というように、今のラジコン市場を牽引しているのは成人男性です」(同社広報・IR部 山田千恵氏)

 クリスマス商戦の目玉にもなりうるであろう「エアロスパイダー」。子どもはもちろん、成人男性や女性までも取り込み大ヒットとなるのか? いろんな意味で“動き”が注目のアイテムである。

(フジイ ナオキ)

■関連記事
・タカラトミーが売り出す「私だけの人生ゲーム」の価値
・赤外線操縦玩具「ヘリQ」完売店続出の理由
・お札風呂から脂取り紙、トイペまで…お札グッズブームの深層
・大人も子供も胸ときめかせる「レゴスタジアム」の魅力
・ストレス対策グッズから垣間見える 癒されたいオトコたち