日比谷インターナショナルアーケードの国際度
(上)高架下でひときわ目をひく外観(下)近づくとこんな感じで
まずは見てください、このショーウインドウ。歌舞伎町でもススキノでもありません(数寄屋橋も帝国ホテルも目と鼻の先です)。
日本刀と招き猫が同居してます(けっこうファンシー)。

店構えに誘われるように奥に入れば、手前には金ピカと浮世絵と漢字で目がチカチカするようなおみやげ屋さんがあり、その奥にはジャポニズムあふれる寿司Tシャツも売ってるアンティーク着物屋さんがあり……と、とにかく中は「ここどこ!?」「今、いつ!?」って感じなのだ。

日比谷近くの高架下で、有楽町と新橋の二方向にのびる、このインターナショナルアーケード。家に戻っても「あれはなんだったんだ」という思いが消えず、図書館で銀座や中央区界隈の本を何冊か開いてみたのだが、インターナショナルの「イ」の字も出てこない。「幻か?」と思いはじめたころ、ようやく見つけたのが『散歩の達人』の記事である。

記事によれば、この商店街、東京オリンピックを前に、デッドスポットを外貨獲得のための商店街にしようと、昭和37年にできたとか。
当時は円安で「ひっきりなしに客が押し寄せた」が、円高になってからは外国人観光客が激減、厳しい状況になったそう。

とはいえ今も宝石店や工芸品店、切手屋さんなどが健在。当時のもくろみどおり、おみやげ屋さんも数組の外国人観光客でにぎわっておりました。

それにしても、インターナショナルアーケードって名前は言い過ぎてないか? などと思いつつ、フジヤマ&ゲイシャの絵付きカード入れを見ていたら、驚く会話が耳に。なんと店員のおばちゃんたち、みな流ちょうな英語で接客してるじゃないですか! しかもおばちゃんいわく、「最近は、英語だけじゃダメなのよ」ですって。インターナショナルアーケード、その名に偽りのない国際派なのでした。
(矢部智子)