巨大な顔が目印「顔のYシャツ」ってなんだ
(上)何度見てもインパクトが薄れません(下)店の脇にも小さな「顔」
東京千代田区神田。本の町、神保町から歩くことおよそ10分。
都営新宿線小川町駅からなら徒歩0分。スポーツショップの立ち並ぶ一角にその店はある。ビルとビルの間に挟まれた小さなその店の看板には「顔のYシャツ」とあり、ん?「顔」?と見上げると建物の上方には巨大な顔!坊主頭で微笑みかけるあの顔は一体何なんだ!

この辺りを歩くたびに気になっていた「顔」の正体を探るべく、思い切って店の中へ。眼鏡をかけ、新聞に目を落としているお店の方におそるおそるたずねる。
「あのー、このお店のあの顔は誰なんですか…?」
白髪で綺麗な身なりをされたお店の方はこちらを優しいまなざしで見つめ、こう言った。
「私の親父ですが、どうかしましたか?」

そうなのである。
あの「顔」は「顔のYシャツ」の創業者である先代の店主のお顔だったのだ。そもそも、店の看板にトレードマークとして顔の絵を用いていたのが有名になったため、店名も「顔のYシャツ」に改めたそうだ。オーダーメイドのYシャツ専門店として大正7年に創業されたとのこと。ちなみに注文から仕上がりまで約2週間。

「顔」の看板は「戦争で何度も焼けてるんですよ」とのこと。古くなると塗り替えてもいるようで、この度の取材でも以前見たときより綺麗になっていた。
そんなお話を聞きながら、現在のご主人もやはり、あの「顔」とどことなく似ているような気がしてきた。

私がこの顔を初めて見たのは「さよなら人類」で紅白歌合戦にも出場したイカ天出身バンド「たま」のCDのジャケット写真でだった。そんなわけでこの看板を目にするといつも「たま」の歌が頭に浮かんでくる。ああ、大好きだった「たま」…。と思いっ切り余談ですいませんが、そんな風にどこかノスタルジーを感じさせる「顔」。神田近辺へお越しの際には一目見てみては?(スズキナオ)

「顔のYシャツ」
住所:千代田区神田小川町2−1
営業時間:(平日)09:00〜19:00(祝日)12:00〜18:00 ※日曜定休