「冷やし中華前線」はいまどこにいるのか?
揚子江菜館の五色冷麺。
5月になって段々気温が上がって来た。どうやら今年の夏も暑くなりそうだ。
人それぞれに暑さと共に食べたくなるものがあると思うけれど、麺党の僕の場合はそれが冷やし中華なのだ。

最近はラーメン専門店などが様々に工夫を凝らした独自の冷やし麺をフィーチャーしている。それはそれで美味しいのだけれど、私としては昔ながらの冷やし中華が一番好きだ。酢を利かせた濃い目の醤油だれ、具はきゅうりとハムと金糸たまごに紅しょうがを乗せたシンプルな構成。からしをたっぷり入れて食べるあのなつかしい味。

毎年初夏の頃、中華料理店の店先に「冷やし中華始めました」の張り紙やノボリが貼り出されるのを心待ちにしている。昔は冷やし中華と言えば夏の風物詩だったけれど、何だか最近はその時期が段々早くなってきたような気がする。ではいったい今年の冷やし中華はいつごろ始まるのだろうか。

早速、全国の中華料理店を地方ごとに5〜10軒ランダムに選んで冷やし中華の開始日をアンケートして見た。九州地方は4月下旬〜5月初旬。中国地方・関西地方・中部地方は5月の初旬から中旬。関東地方は5月の中旬から下旬。
東北・北海道地方は6月以降が多いと言う結果が出た。桜前線の通過後、梅雨前線の訪れを前に、冷やし中華前線は4月の九州地方から始まって徐々に北上しており、GW明けの5月中旬には関東地方に差し掛かるようだ。これは最高気温が23℃を超えるラインにほぼ等しい。どうやら冷やし中華は気温23℃前後を境に「始まる」らしい。

私はGWの連日の好天に誘惑されて、フライング気味に早速今年一番の冷やし中華を神保町の「揚子江菜館」で食べて来た。この店は冷やし中華の元祖(仙台市の龍亭と言う説もある)と言われている店で、通年で食べられる。麺が高級中華料理店に多いたまご麺で喉越しが優しく、定番の具が美しく盛られていて、1400円の値段と共にゴージャスなのだけれど、「たれ」が昔近所の中華料理店で食べたあのとても懐かしい味なのである。この「たれ」の味からすれば、冷やし中華の元祖と言う触れ込みも思わず納得してしまうのだった。

コンビニでも冷やし中華が並べられていて、季節の先取りに敏感なコンビニらしく、セブンイレブンでは1月下旬から、ローソンでは2月下旬から早くも店頭に登場している。

最近では通年で出す中華料理店も増えて来ているけれど、やっぱり冷やし中華は本当に暑い季節にこそ食べたくなるし、美味しさも格別だと思う。ああ、早く本格的な冷やし中華の季節が来ないかと待ち遠しい。(シロー)
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