
私のなまはげのイメージって、腰蓑つけて、鬼の仮面をかぶった人が「泣く子はいないか!?(発音は、なぐごはいねが)」と各家を訪ね歩く、というものです。
そんな「なまはげ」を体験できる施設がある、と聞いてやってきました「なまはげ館」。男鹿半島の中央部にひっそりあります。
まずは展示施設を見て回ります。歴史や、全国に伝わるなまはげのような伝承の話などが、コンパクトにまとめられていて勉強になります。圧巻は、地区ごとのなまはげが一同に会したお部屋。約60人……匹? の、なまはげがじーっとこっちを見ています。みんなちょっとずつ違うんだなあ。
そもそも「なまはげ」とは、「なもみを剥ぐ」から来ているのだそうで。「なもみ」とは、冬場に囲炉裏や暖炉に当たり続けているとできる、赤い斑点のようなもののこと。怠惰を戒めているわけですね。ううっ、耳が痛い。
さて、なまはげ館の隣にある、男鹿真山伝承館に移動します。古い日本家屋そのままの建物で、靴を脱いで、畳のお部屋にあがります。薄暗くて、木のぬくもりが感じられて、ああ、なんだか落ち着くなあと思ったのもつかの間、すぐに「なまはげライブ」が始まります。
部屋の外から「うぉーっ」という叫び声が聞こえます。そして、扉をばーーんとあけて、二人(二匹?)のなまはげが登場です。わかっちゃいるけど、その声の大きさと迫力にびっくりします。「泣く子はいねえか!? 親の面倒みねえ悪い嫁はいねえか!?」と大きな声で言いながら、家の中をどかどかと歩き回ります。わ、わかってるのよ、わかってるけど、私たち「お客」は、ひぃぃとか言いながら部屋の隅で小さくなります。これ、怖いよー。子供泣くよ、そりゃあ。
ひとしきり家の中を歩き回ったあとに、家主が「まあまあ、なまはげさん、こっちで座ってお酒でも」と、案内します。「ん? そが?」なんて素直に言いながら座るなまはげさん。
実際には地元の人が、年に一度、大晦日の日にしか体験できない「なまはげ」を堪能できちゃうなんて、贅沢です。これが見られるのは、4月から11月まで。冬場は……、本職が忙しいのでしょう、なまはげさん。(谷和原のぞみ/お気楽ステーション)