昼寝イス「いねむりくん」と富士山の関係
(上)S字フォルムがかっこいい(中)重心をずらすと自由な角度で停止します(下)大分市長賞を受賞を受賞した網組状格子の室内戸
今、昼寝がちょっとしたブーム。短時間の昼寝は仕事の効率をあげるという専門家もいて、今や仕事中の昼寝は、市民権を得た感がある。

そんな中、何とも素晴らしいイスを発見。大分市の足立木材工業(株)が売り出した休憩用の木製のいすで、その名も「いねむりくん」(税込 3万1500円)。アラスカヒノキとオーク材を練り込んだ合板2枚を接着した集合材を、特殊な機械でS字状に曲げてあり、カーブがぴったりと身体にフィットしてバツグンの寝心地らしい。また、体の重心を後ろにずらせば、自然に脚を上げて休憩できる仕組みになっている。昼寝、うたたねにどうぞ、と言わんばかりのフォルムである。

この「いねむりくん」、開発にまつわる話もユニークで、すでにテレビ番組などでも紹介されていて大ブームの兆し。

「いねむりくん」は、「休憩時間ぐらいゆっくりしたい」と、従業員が職場の仕事道具を勝手に使って、寝いすを作ったことに始まるというのだ。仕事用具を許可なく私用に使った揚げ句、休み時間とはいえ、気持ちよさそうに寝転ぶ従業員を見て、社長の足立さんは初めはいい気持ちがしなかったという。けれども、実際に自分もそのイスに寝転んで見ると、あまりの寝心地の良さに怒りも吹き飛んでしまい、商品として開発することになったのだそうだ。必要は発明の母っといったところだろうか。

1920年の創業以来足立木材工業(株)が、作り続けている家具や建具の技術の高さは知る人ぞ知るもの。
湯布院の高級旅館「無量塔」にも納めたという板を、縦よこに編み込んだ形の網組状格子の室内戸は、2005年の大分工業展で大分市長賞を受賞。
もちろん、この室内戸は一般の方でも購入することは可能だ。

そんな高級建具も作ってしまう会社だが、あきれた社員のアイデアから「いねむりくん」を誕生させただけあって、ユニークな商品もある。
HPを拝見すると、新製品紹介にはかわいらしい幼児用のテーブルや、組み立てイスがある一方で、「使い方はお客さまにおまかせします」という、足立社長もその使い道を知らない「まがりくん」なる木工素材が。また、木製の機織機や鉄アレイならぬ、木アレイといったものまで。そんな中、私が気になったのが、富士山の山小屋で販売しているという木製のハガキ。ヒノキ材に富士山の絵が印刷されていて、何と水彩絵具がつき! 解説には、「登頂の感動を直ちに絵葉書にすることができます」とある。
登頂記念に登ったその時の空の色やイメージをそのまま色に表せるという、なんとも心憎い富士山土産である。

こんなアイデアが思いつくなんて、やはり昼寝が仕事の効率をあげるというのは間違いないことなのかもしれません。
(こや)