そして、誰もが一度は疑問に思うだろうことが、「人間が食べても大丈夫なの?」ということ。今回はこれを調べるために、久しぶりに奈良に行ってきた。
奈良国立博物館の正倉院展にはわき目もふらず、公園内各所でおばちゃんが売っている鹿せんべいを購入。受け取ったとき、炭酸せんべいのような香りがしたので、「食べてみたい」という気持ちはふくらむ。
一応、売っているおばちゃんに、人が食べても大丈夫か聞いてみると、
「ぬかでできているので害はないですよ」とのこと。
なるほど。なんともあいまいな「害はない」と言い回し。衛生面が気になるもの、そう言われたからには食べてみないと。
だが、周りは鹿だらけ。1枚だけ残して、群がってくる鹿にあとは全部やり、人目が気にならないところまで走って逃げる。
そして、辺りを見回しながら、口に入れてみた……。
確かに風味も少し炭酸せんべいに似ていて、ほのかに甘みもあるが……。
やはり砂糖が入っていないとあまり美味しくないのか。いやいや、そもそも鹿用のものは人間が食べるものじゃないってことだろうな。
はたして鹿せんべいを口にしたことは正しかったのか。鹿せんべいを販売している「奈良の鹿愛護会」に問い合わせてみた。
鹿せんべいは米ぬかや雑穀でできていて、鹿にとってはあくまでもおやつで、奈良公園内の鹿は野生動物のため、主食は芝や木の実だとか。歴史は古く江戸時代の1670年代には販売されていたそうだ。なお、売り上げの一部は鹿の保護費に当てられているという。
さて、人間が食べても大丈夫なのかという問いには、
「人間は食べられません」
と、きっぱりと言われてしまった。
え、そうなんですか。おばちゃんが「害はない」って言っていたので、食べたんですが、もしかしてダメだしたか?
「食品は食品衛生法に基づき生産されていますが、鹿せんべいは鹿用なので、害はないと思いますが、食べない方が賢明だと思います」
そう。やっぱり食ったのは間違いだった。
ちなみに、鹿愛護会は人間用の鹿せんべいは一切つくっていないそうだ。個人的には、お土産用の鹿せんべいもつくって欲しいんだけどなぁ。
あ、あと最後に。
みんなで奈良へ行こう!
(もがみ)