天気予報の「雨時々止む」とは?
ラジオの天気予報で、「雨時々止む」という馴染みの薄い言葉を聞いた。「のち」「時々」「一時」などは天気予報でよく使われるが、前後に「晴れ」「雨」「くもり」などの現象名があるのが普通ではないか。
「雨時々止む」には、不自然さを感じる。

気象庁のホームページによれば、「時々」は現象が断続的に起こり、その現象の発現期間の合計時間が12時間未満(24時間予報の場合)のときに使う。すなわち、「雨時々止む」とは、「1日のうち12時間未満は雨が止んでいる」という意味になる。断続的に降ったり止んだりするならば、雲が多いはずで、「雨時々くもり」としてもよさそうなものだ。
ただ、ややこしいことに全天(自分から見える空、360度全て)の8割を雲が覆っていても天気は「晴れ」と表現されるのだ。つまり、「雨時々晴れ」の可能性も捨て切れないわけだ。
しかし、それならば「雨時々晴れかくもり」とすればよいのではないか。

気象庁の天気相談所に電話をすることにした。
「天気予報の『雨時々止む』とはどういうことでしょうか?」
「お天気の基本は雨で、時々雨は止むという意味です」
「えっ! えーと、そうではなくて、『雨時々くもり』との違いは何でしょうか?」
「は〜、詳しい者に替わります」
ここから電話の保留音が約3分。長い。しばらくすると別の男性が出た。
「お待たせしました。
それは、天気コード302に対応してテロッパーで『雨時々止む』と表示されるのです」
「はっ?」
天気コードとは、天気に対応して100から450の数字で表され、放送局などへのデータ配信に使用されるとのこと。例えば、「晴れ」は100、「雨」は300で、なんとその数、全351種類。中には、「雪時々止む」なんてのもある。
「イコール『雨時々くもり』と考えても良いでしょうか?」
「問題はありませんが、『くもり時々雨』との違いを明確にするため、現在は『雨時々くもり』は使用していません」
意外なことだが、天気コード対応表に「雨時々晴れ」はあるのに、「雨時々くもり」は無い。ではなぜ、「雨時々止む」という表現に違和感を感じてしまうのか。
「放送局での最終的な表現方法までへの拘束力はありませんから、あまり使われていないのが現状です。
ですから、この『止む』という言い回しが浸透しないのでしょう」

日本晴れの如き、納得の回答とはいかなかったが、皆さんも「時々」は注意して天気予報を聞いてみてください。
(吉田ジョージ)