100%ジュースの味にはバラつきあるのか
100%ジュースは時間の経過とともに品質が変わるという側面も。ちなみにトマトジュースはしぼりたての夏よりも、数ヶ月たってからのほうが、「味が落ち着いている」んだそうですよ。
オレンジ、グレープフルーツ、リンゴにトマト……。うまいぜ、100%ジュース。


ところで、リンゴやみかんを食べると、いっこいっこの味に、いろいろ違いがある。そして、そのシーズンの天候などで出来不出来が左右されたりもする。
それでも100%ジュース、だいたいいつも同じような味が保たれているような気がするが、“100%”というからには、穫れた果実をそのまま使用しているはず。すると、トマトの出来が悪い年のトマトジュースは、おいしくなかったり、そんなことあったりするのか。
飲料メーカーに勤務している友人に、そのへんどうなのか、聞いてみた。

「いわゆる清涼飲料に比べると、100%ジュースは実際に味のバラつきあるんですよ」
とのこと。
「毎日飲み続けているようなお客さんからは、クレームがくることもありますね」
今日のオレンジジュース、ちょっと味が違うぞ、とかそこまで微妙な違いを感じられるような舌の持ち主ではないので、そんなこと、気づきもしなかった。

とはいえ、「あれ、前と違う味だ」と、すぐ気がつくほどのバラつきがあっても困る。なので、メーカー側も、いろいろ品質管理には気を配っているよう。
「物によりますが、フルーツジュースは香料で調整する場合もありますし、原料のフルーツを購入する際に、ある程度その商品ごとの品質基準値内に収まっているものだけを購入したりもします」
“ウチのオレンジジュースの味は、これ。そのために必要なオレンジはこれ!”、という「正解」への方程式が、ちゃんと決まっているわけだ。
また、複数の果物や野菜がミックスされているジュースでは、そのブレンドで調整する方法もあるそう。


100%ジュースではないが、以前、某大手ビールメーカーを取材したときに、
「全国各地に製造工場があるのですが、原料や気候など、条件は工場ごとに差があります。その中で、『この銘柄は、この味』という、“正解”の味があるので、その“正解”に近づくよう、いろいろ調整していくんです」
という話を聞いた。
安定した品質のため、メーカーもいろいろ努力しているわけだ。

前出の友人によると、オレンジジュースとグレープフルーツジュースが、この先なかなか大変そう。
「昨年、一昨年と、続けてアメリカを襲ったハリケーンの影響なんですよ。世界的に原料確保が難しい状況で、この2種類の品質をキープするのが、各社大変だと思います」
いい原料を安定して確保するの、なかなか大変そうだ。値上げするわけにもいかないし。
うまいオレンジ/グレープフルーツジュースを飲んだとき、「このご時世に、ありがとう」と、ちょっと感謝してみる。
(太田サトル)
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