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アキバ名物? 「オタク丼」を喰らう

       
秋葉原での取材帰り。電気街からは少し外れた、神田末広町付近。
ふと目にとまった看板に、こんな文字がおどっていた。
「オタク丼」。すぐ下には「アキバ名物」とも書いてある。そして、いかにもな「アニメ絵」の美少女イラスト。

パッと見、また新しいメイド喫茶のフードメニューかなあ、と思う。もしくは、「牛丼パソコン」の類の激安パソコンやパーツの名称か。
しかし、見るとそれはちゃんと海鮮丼であり、看板を出しているのはれっきとした寿司店である。しかも、わざわざ「アキバ名物」とうたったり、「萌え」なイラストを添えている店にもかかわらず、店構えはむしろ渋めの江戸前の寿司店である。
気になる。食べてみた。

のれんをくぐると、ちょうどお昼どきということもあって、店内はかなりにぎわっている。しかも、「オタク丼」的イメージからはほど遠い、いかにもランチタイムにおとずれた、近くの会社員のおじさんだらけだったりする。それでも実は、「オタク丼」ねらいだったりするのか。

ランチメニューは数種類あるが、1260円の「オタク丼」は、一番高額な部類。見た感じ、みんな握りのランチを食べているようで、丼系はみあたらない。それに、店内の壁やメニューのどこにも「オタク丼」とは書いてない。間違えたか?

注文を取りにきたので、切り出してみる。
「……表の『オタク丼』って、ありますか?」
「はい、『オタク丼』ございますよ」
カウンターのマスターに向かい、
「オタク丼、入ります!」「あいよ、『オタク』!」
……威勢のいい声で、「オタク」という言葉が響く。なんか、自分がそう言われたようで、「他のお客さん、オレを見ないで! そうじゃないんです」的な気分に。

しばらく待つ。出てきた、これが、オタク丼。
丼の上にはマグロ、アナゴ、玉子などが乗っていて、やっぱり見た目普通の海鮮丼だ。どのへんが「オタク」なんだろう。
おまけに、他のメニューより高い1260円にしては、いささか寂しい見た目に思えるよなあと思いながら、箸を進める。すると。
丼の中から、出てくる出てくる、ホタテ、イカ、タコ、ホッキ貝、シャコ……。これ、丼が2段の構造になっていて、寂しいどころかボリューム十分、味もおいしい。トータルではなかなか豪華な丼だった。

お店の方によるとこれ、もともとあった丼を、最近になって名前をかえたんだそう。
本当にいたって普通の寿司店だし、他にアキバ系のひとたちに向けたアピールを特にしているわけでもない。それなのに「萌え」だの「メイド」だの『電車男』だのといった時流に、「なぜか乗っかっちゃった」感が、また味わい深い。

これだけは聞いておきたい。なんで「オタク」なのかと。
「おいしい・たくさん・くえるという意味なんです」
“あいうえお作文”か! 語呂合わせが、「食える」という少し乱暴な言葉混じりなところがこれまた、神田っ子気質ってやつなのか。違うか。
(太田サトル)

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2006年4月12日のコネタ記事

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