「サラダ油」はサラダ“ゆ”? サラダ“あぶら”?
「ゆ」か「あぶら」か。どっちがどうという、厳密な区分けはとくにないようです。
「サラダ油」の読み方が、いつの間にか変わっているような気がする。
かつてはほとんどの人が「サラダゆ」と読んでいたが、最近は料理番組などで必ず「サラダあぶら」と言っている気がするのだ。

「サラダあぶら」と聞くと、どうも激しく「あぶら」を意識してしまい、自分がブタになる図が想像されてならないのだが……。

なぜ読み方が変わってきたのか。日清オイリオに聞いてみた。
「『サラダゆ』と『サラダあぶら』、実は公的なくくりは特になく、言いやすさによる違いだと思いますよ」

ただし、油のバリエーションが増えたことが、影響しているのでは? と、広報担当者は言う。
「昔は食用油といえば、サラダ油が主流でした。でも、今ではキャノーラ油、健康オイル、オリーブオイルなどが主流になってきています。
実際、サラダ油のCMはなくなってきていますし、当社の『日清サラダ油セット』は『日清オイリオギフトセット』に変わっているんですよ」
確かに、日常で「サラダ油」という言葉を耳にする機会は減っている。

では、「サラダあぶら」と料理番組で言うのは?
「料理番組では、『あぶらを使う』ことがわかりやすいよう、調味料名として『サラダあぶら』と言うんじゃないでしょうか? サラダオイルという言い方も増えていますし」
なるほど。

ちなみに、日清オイリオで「日清サラダ油」が最初に販売されたのは、大正13年。
当時日本では、食用油は主に揚げ物等に使っていたが、西洋では、生野菜に塩や酢を加えた食用油をドレッシングのようにして食べていた。
こうした食べ方にならって、サラダ料理などに使う、生でも使用できる食用油という意味で登場したのが、「サラダ油」だとか。

そんな画期的な存在だった「サラダ油」も、今では新勢力に追いやられ、第一線を退いている。
油界にも広がるヘルシーブームの影響が、冒頭の私の「サラダあぶら」の読みに対する想像にもつながっているのかもしれない。
(田幸和歌子)