「大地震」は、“だいじしん”? “おおじしん”?
その読み方は、NHKですら曖昧な「大地震」ですが、グラッときたらご注意を。
大地震――昔はみんなコレを「だいじしん」と読んでいた気がする。でも、最近は、ニュースなどを見ても、ほとんど聞くのは「おおじしん」。

一体いつから「おおじしん」が主流になったのか。

気象庁に聞いてみると、
「特別な理由はないと思いますよ」
と、あっさり。そもそも気象庁では「マグニチュード7.0の地震」などと、具体的な数値を入れて伝えるため、「大地震」「巨大地震」などの抽象的な表現は使わないそうで、
「『大地震』は、マスコミさんの作った言葉じゃないですか?」
とのこと。
ちなみに、一般的にはマグニチュード7程度以上が「大地震」、5程度以上が「中地震」というそうだが、この分類も特に気象庁でしているわけではないという。

では、テレビではどうなのか。NHKに問い合わせると、「ことばのハンドブック」の記述から、こんな分類を教えてくれた。

「一般的な『だい』と『おお』の読み方の資料では、『だい』のあとにくるのは漢語、つまり音読みの言葉。それに対して、『おお』のあとは訓読み、和語となっています」
つまり、音読み+音読み、訓読み+訓読みというルールに沿ったものだそうで、
「『じしん』は訓読みですので、NHKでは、今も昔も『おおじしん』と読んでいます。なぜ『だいじしん』という人が多いかというと、『大震災(だいしんさい)』『大災害(だいさいがい)』など、災害に関する言葉を『だい』と読むのと関係があるのではないでしょうか」とのこと。
ん、訓読み!? “震”は「ふる(える)」が訓読みで、「じしん」って、「音読み」じゃないのか!? あるいは、「地」には訓読みがなく、「ち」「じ」ともに日本語になっているので、「訓読み+音読み」の「湯桶読み」パターンだろうか。

いずれにしろ、「ことばのハンドブック」に従えば、「だいじしん」が正解の気がするが、NHKの放送用語はあくまで「おおじしん」なのだそうだ。つまり、例外!? かなり曖昧ってこと!?

「おおじしん」と「だいじしん」。
結局、どちらも間違いではないようです。
(田幸和歌子)