地震雲は本当にあるのか
今年は、豪雨や台風といい、地震といい、大きな災害の年になってしまった。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げたい。


気象予報士としては、新潟を襲った地震、もしこれが予知できていたら……と思う。天気のように地震も予知できたらどんなに役立つだろうか。大地震があると、「おとなしい犬が騒いだ」「ミミズがたくさん這い出してきた」「夜なのに空が明るくなった」などと前兆ではないかと思われる話が盛り上がる。だけど、う〜ん、どれも怪しげ。本当に地震予知なんてできるのだろうか…。

地震予知としてよく騒がれるのはご存知「地震雲」。飛行機雲とはちがう、自然に細長くなる雲だといわれている。私は静岡県に住んでいるが、3年前の秋、こんな雲の写真を撮った。この雲は現れては消え、また現れては消え…何度も繰り返していた。この雲が現れると本当に地震が来るのか? もし東海地震が起きたら、この1枚は貴重なものになる…そう思いながら、数日間待った。結果は「No」(当然か……)。地震は来なかった。
他の地域での際だった地震もナシ。ホッとしたような、拍子抜けしたような。 (いや、もちろん安心したのですよ。)

その後、同様な細長い雲は何回となく現れるのを見た。皆さんも空を何度も眺めると、きっと、そんな細長い雲を見つけることがあると思う。地震雲の研究家は、雲の向きが地震の位置を表し、マグニチュード5ぐらいの地震の前にも現れると言っている。でも、日本付近ではこの程度の地震は頻繁に起きている。また、雲は偏西風に流されて東西にのびるものが多いが、日本付近の地震も東から西へ連なっている。そんなわけで気象に携わっている人の多くは、この細長い雲が地震の前兆とする考え方には否定的なのだ。TVで有名なお天気キャスターも「ない」と断言していたっけ。私も、雲で地震を予知することはできないと思っている。

でも、否定しうる確たる証拠もない。
阪神淡路大震災の前日に、斜めに並んだ十数個の丸い雲が写真に撮られているが、雲としてはとても不思議なもの。もしかすると、地震と雲とは私たちの気づかないところで繋がっているのかもしれない。地球も、空も、動物も同じ地球上の自然なんだから、どこかで繋がっていてもおかしくない。そう信じて、地震予知ができる日を私は待ち望むのだ。そしたら今度はいつか「地震予報士」取得を目指したい。(真夜中の予報士)
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