泳げなくても“潜水士”になれる!?
これが潜水士の免許証。他の労働安全衛生法の資格(クレーンやボイラーなど)と共通<br>画像提供:ともひさん
『海猿』の続編となる映画が大ヒット上映中といったこともあり、海上保安庁、そして“潜水士”が注目を集めているようですね。潜水士といえば、映画の影響もあって「命をかけて海に潜り、過酷な任務を……」なんて勝手に想像してしまいますが、我々素人でも案外簡単に“潜水士”になれるんですよ。
まぁ、“潜水士”の資格を取ることができるといったほうが正確ですが。

この“潜水士”は、労働安全衛生法によって規定された国家資格。つまり、試験に合格して免許が交付されれば、その人は国に認められた“潜水士”ということになるわけ。
「厳しい受験資格とか試験があるんじゃないの?」「実技は?」といった心配はご無用。受験資格は特になし、そして試験内容はなんと筆記試験のみ! つまりペーパーテストなので、潜るどころか泳げなくても、老若男女関係なく、“潜水士”になれる(資格を取れる)のです。
※ただし、18歳未満でも受験はできるけど、免許の交付は満18歳になってから。しかも、受験者はほぼ一般の人なのに合格率は73.9%ということで、それほど難しい試験でもないみたい。
試験内容は、「法令」「潜水」「浮上」「高気圧障害」などに関する知識を問うもので、5つの選択肢から1つを選ぶマークシート形式。合否は1週間ほどで分かるとのこと。

さて、試験に合格し免許をゲットしたら――晴れて“潜水士”になったら、実際に潜って仕事に就けるかというと、当たり前だけど、そういうわけにはいかない。だって、テキストを読んで勉強したからって、潜水器具を扱ったり、潜って泳いだりできるはずないですもんね。実際には、その業務に合った教育や訓練を受けたり、他の資格を取らなければならないとのこと。
例えば、『海猿』を見ても分かるとおり海上保安庁なら保安学校や保安大学校で潜水士課程を修了したり、また、スキューバダイビングのインストラクターの場合などは、スキューバダイビングの資格が必要だったり。というのも、“潜水士”の試験では、知識の習熟に焦点が置かれているので、技能・技術の面では他に資格が必要だから。この“潜水士”の免許は、本物の潜水士になるために必要な資格のひとつ、ステップのひとつって位置づけみたいですね。

試験は、年に数回、安全衛生技術試験協会で行われていています。なお、試験問題は、安全衛生技術協会のホームページで公開されているので、それを見て「これなら私でも」とお思いなら、潜水に関する仕事に就かない限り、なんの役にも立ちませんが、ぜひ取ってみてはどうでしょうか。友達に自慢できますし、「泳げない潜水士」ってネタにしても面白そうですし。
(もがみ)

「ともひ」の免許・資格をゲットしよう!(取材協力・画像提供)
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