原寸大の世界名画を見に「大塚国際美術館」へ
(上)システィーナ礼拝堂 (中)広い系統展示フロアの様子 (下)レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」<修復前>
世界中を騒がせている映画『ダ・ヴィンチ・コード』。この作中で重要な役割を果たしている「最後の晩餐」や「モナ・リザ」などをはじめ、世界の名画を実物大で見ることができる、大塚国際美術館(徳島県鳴門市)に行ってきた。


まずは、この美術館の概要を説明しよう。
大塚製薬グループによってつくられたこの美術館では、原寸大に再現された古代の壁画や西洋の名画が1,074点も展示されていて、日本に居ながら世界中の美術館を一気に体験できる。おろらく、私たちが見たことのある有名な絵は、ほぼすべて網羅されているだろう。
順路通り見ていくと4kmにもなるという日本最大の展示スペースには、額まで再現された実物大の名画の他に、古代遺跡や教会の壁画などが空間ごとそのまま再現された“聖堂”までもある。これらは、すべて“陶板”に焼き付けられて再現されたもので、長年劣化せず、ただのコピーではない文化財の記録としても貴重なものとなっている。しかも、ピカソの子孫や世界各国の美術館館長・館員に認められた世界初かつ唯一の美術館で、展示されている陶板名画のオリジナルの所蔵先は大英博物館、ルーヴル美術館をはじめ、ベルリン、ナポリ、フィレンツェ、ロシア、オルセー、パリ市、オスロなどの美術館・博物館だ。


エントランスホールに立って、まずその大きさに圧倒されるのが、正面に見えるヴァチカンの「システィーナ礼拝堂」がそのまま再現されたホール。ミケランジェロの「天地創造」や「最後の審判」を実際に天井画や壁画として、空間の中から見ることができる。「本当にここは日本なんだろうか」という感覚に陥った。しかし、まだはじまりにすぎない。このほかにも複数の再現された墓、聖堂、礼拝堂等があり、中に入って天井画・壁画を鑑賞できる。これが空間ごとそのまま再現した「環境展示」というもの。
また、フェルメールの部屋もあり、「青いターバンの少女」も展示されていた。

次に見てまわったのが、古代から現代までの膨大な数の西洋美術(主に絵画)が時代ごとに展示されている「系統展示」。
「古代」では、ギリシャや古代ローマ時代の壁画やモザイク画が展示。「中世」では、主にキリスト教関係の絵画や壁画。
そして、次に「ルネサンス」。ここもキリスト教を中心とした絵画がほとんどで、レオナルド・ダ・ヴィンチの時代だ。
見たことがあるキリストの絵画を鑑賞しつつ進んでいくと、人だかりできている部屋が。この部屋には、高さ4m幅9mフレスコ画が向かい合っている。そう、これが実物大の修復前と修復後の「最後の晩餐」だ! 映画にちなんで、美術館の係員の方が、この絵に隠された謎についての解説をしてくれていて、多くの人が感動しながら聞き入っていた。他にもダ・ヴィンチの作品が複数展示されており、もちろん「モナ・リザ」も。
さて、次は「バロック」。キリスト教と王族関係の絵画が中心。
もちろん、ルーヴル美術館所蔵の「ルイ14世の肖像」も立派な額まで再現されている。
さらに上の階へ進むと「近代」。ゴッホ、ルノワール、ミレー、セザンヌ、モネ、マネ、ムンクなどなど、素人の私でもたくさん知っているいわゆる西洋名画が約330点と盛りだくさん! 巨大なナポレオンの絵画もここにあり鳥肌が立つほどの迫力だ。
最後に「現代」だ。ここに展示されているのは、ピカソ、ミロ、ダリ、キリコなど。門外不出だったピカソの「ゲルニカ」も原寸大(349×777cm)で展示されている。


この他に、時代を超えて古今の表現技法の違いを鑑賞できる「テーマ展示」もある。テーマは「だまし絵」や「生と死」や「時」など。

以上、“Bitコネタ”で紹介できる範囲での説明だ。当然だが、西洋の美術史が凝縮されている展示を紹介することなんてできっこない。

世界史や美術の教科書や資料集で見ていた名画が実物大に目の前にあるわけだから、かなりの臨場感と感動を味わうことができる。こういうのにはうとい私でも鳥肌が立ちっぱなしだったほどだ。

世界中の美術館から集められた西洋美術史を体験できるこの空間。
特に美術や西洋史に興味がない人でも、知っている絵を見たときには、大興奮すること間違いなし!!!
やっぱり、写真と文章じゃ感動は伝わらない! 実際に行ってみてください!
(もがみ)

大塚国際美術館
 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦字福池65-1(地図
 開館時間 9:30〜17:00 休館日 月曜日
 入館料 3150円(大学生2100円 小中高生520円)
 大阪・神戸からは直通バスも→鳴門・淡路エクスプレス