世界一長い木造橋を渡る
(写真上から)さまざまな角度から蓬莱橋を撮ってみました。一番下の写真は、橋のたもとにあるギネス証明書です
たとえそれがどんなものであっても、「世界一」という言葉には、魅惑的な響きがあります。この広い地球上で、いちばん。
日本にもそんな世界一がいくつか存在しているのですが、静岡県島田市にある蓬莱橋は見た目のインパクトも相まって、なかなかの逸品でした。

蓬莱橋。越すに越されぬと言われた大井川の対岸同士を結ぶため、1879(明治12)年に完成した、世界で一番長い、木造の歩道橋です。
相次ぐ増水に備え、今では一部の橋脚がコンクリートに交換されているものの、基本的には木造。長さは、実に897メートルもあるのです。
島田の市街地側から橋を見ると、対岸の森の中に消失点が見えます。……マジ長い。
通行料金は100円。ちゃんと切符というか通行証明書も発行してもらえますし、記念スタンプもあります。もちろん、ぺったん。さあ、それでは往復歩いて1.8キロ。覚悟を決めて歩き始めてみましょう。


橋の幅は、2.8メートルあるので、大人が横に三人並んでも平気です。しかし、欄干が低いこと低いこと。私の膝丈くらいしかありません。川面からの高さは5メートルほどかな。決して低くはありません。乗り出して写真なんか撮ってると、ちょっとぞくっとします。
その日はとても風が強く、立ち止まっていると、橋が揺れているのがわかります。ぎしっぎしっと緩やかに軋んでいます。ちょっとどきどきします。早足で駆け抜けましょう。
対岸には、管理小屋も無く、ただ小高い丘がありました。生活道路が牧之原地区の茶畑方面につながっていて、本来の目的を思い出させてくれます。
しかしこの丘が曲者で、ところどころに蓬莱という言葉の由来だとか、七福神の解説などが書かれた看板が立っているのですが、イマイチ脈絡が無いような。

さらには、長寿の鐘と、愛和の鐘という二つの鐘がありました。一ツ鳴らしてあなたに愛を、とのことでしたので、カーンと鳴らしたら思いのほか夕暮れの丘に響いてしまい、ほかの観光客の笑い声が聞こえてきました。
ちぇ。愛をくれよぅ。
(谷和原のぞみ/お気楽ステーション)
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