あこがれの「カップフタヨーグルト」を食べてみたい
10個分のヨーグルトのフタからこそぎ集めた「カップフタヨーグルト」。美味すぎる……。
大竹まこと、斉木しげる、きたろうのコントグループ「シティボーイズ」の名作コント『自己破産の日』のなかに、ジャムのビンの蓋についたジャムをこそいで集めた「ビン蓋ジャム」というのが出てくる。

「ジャムのビンの蓋についたジャムが、いちばん美味く、それだけを集めたものは、超美味い」という理論だが、私もソレには激しく共感してしまう。

ただし、私が切望してならないのは、甘いジャムではなく、ヨーグルト版「ビン蓋ジャム」、というか舐めるとうまい、あの「カップ蓋ヨーグルト」だ。

人前でフタを舐めるのは、はしたないこととわかってはいるので、5歳の娘には「これをやっていいのは、うちの中だけ!」と、口をすっぱくして言い聞かせている(教育方針はおそらく間違っている)。でも、カップのフタについたヨーグルト、どう考えても捨てるのは口惜しいではないか。
フタについたヨーグルトは、最も濃厚で粘り気のある部分だと思う。3個100円とかのヨーグルトだって、フタ部分だけは「特濃」で「プレミアム」な味わいなのだ。
それをこそいでこそいで集めたら、おとぎ話の王子でも(それはアイスクリームか)、歯ぎしりして欲しがるに違いない。


と思い続けて数年。いよいよ実行してみることにした。
というわけで、家族のヒンシュクを買いつつ協力してもらい、3日間かけて計10個の「カップフタヨーグルト」を集めることにした。
フタからこそいだ貴重なヨーグルトは、小さなカップに移し、ラップをして冷蔵庫で待機。種類は多岐に渡ったほうが複雑な味わいが出るだろうと、4連の明治ブルガリアヨーグルトブルーベリー2個、プレーン4個、同じくアロエ2個、ダノンBIOいちじく2個分を使用。
ビンボくさくこそいでこそいで集めた10個分は、ガラス容器に移すと、キラキラ輝く素敵なデザートである。
量だって、プチダノン1個分ぐらいあるので、バカにできない。

かくして苦労して集めた「カップフタヨーグルト」のお味は……予想をはるかに上回る濃厚さ! とろーりと重くからみつく食感は、ヨーグルトより、むしろクリームに近い感じだ。爽やかな酸味も心地よい。
傍らで気色悪そうに眺めていたダンナも、一口試食したら、その美味しさに思わず「あ、ホントだ……」と無口になっていたほどだ。

こそげ集めた苦労から感じる「気のせいの美味さ」ではなく、夢見た以上に美味かった「カップフタヨーグルト」。
ちなみに、一人暮らしの方、衛生面が気になる方は、フタヨーグルトを一気に採集し、残りのヨーグルトをジプロックなどに入れ、お好みでつぶしたバナナやジャムなどを加えて冷凍庫で冷やすと、「フローズンヨーグルト」としてお楽しみいただけます。

(田幸和歌子)