
「動物慰霊祭」は日本特有の行事だった
9月20日(水)から26日(火)は動物愛護週間。この時期は各地の動物園で「動物慰霊祭」などが行われることが多い。
ところで、この動物慰霊祭というのは世界的にみて非常に珍しい慣習なのだそうだ。東京動物園協会のお話によると、海外、とりわけ欧米ではこういった行事は存在しないそうで、日本の動物園で動物の慰霊を行っているというと非常に驚かれるのだそうだ。
では、一体いつから動物園で慰霊祭を行うようになったのか、というとこれが意外とはっきりしていないようなのである。
明治15(1882)年開園の日本で一番古い動物園、上野動物園の歴史をまとめた「上野動物園百年史」によると、慰霊祭の文字が見られるのは昭和5(1930)年。11月23日から25日に行われた「動物祭」の中で「動物玩具展」、「家庭愛玩動物展覧会」、「伝書鳩の通信実演」などとともに「動物慰霊祭」が行われたとある。「上野動物園百年史」ではこのときが初めてであったと考えられると記述しているが、断定はしていない。ちなみに、この「動物祭」では福引きも行われていて景品は山羊、小鳥、猿となっている。
動物園での福引きの景品が動物というのがちょっとすごい。小鳥、山羊はわかるとしても、猿……。もらった人のその後も気になるところではある。
そして、「動物慰霊碑」は翌年の昭和6(1931)年に建てられ、11月8日に除幕式が行われている。
今のように9月に集中して行われるようになったのは昭和48(1973)年に「動物の愛護及び管理に関する法律=動物愛護管理法」が施行され、動物愛護週間が設けられてからのようだ。
動物園での動物の慰霊について、明確な記録がないことに関して東京動物協会に伺ったところ、「おそらく、日本人の感覚として動物のお墓を作るとか、慰霊するということは宗教観とかそういうことから自然発生的に起こったものかと思います。動物園の慰霊祭は昭和5年以前もあったかもしれませんが、あまりにも普通のことなので特に記録に残していないのかもしれません」との答えが返ってきた。
確かに、昔から猫塚とか鯨塚とか動物のお墓、いわゆる動物塚は各地にあるので日本人にとっては動物の慰霊はごくごく自然なことなのかもしれない。
では哺乳類や鳥類などが多い動物園と違って魚類などを多く展示する水族館はどうなのだろう、と水族館でも慰霊祭が行われているかどうか調べてみた。
現在ある水族館の中では最も長い歴史を持つマリンピア松島水族館に問い合わせると、「毎年の行事ではありませんが、魚魂祭ということで節目節目に行っています。節目というのは何十周年とかそういうものですね。あと、ラッコとか飼育している動物ごとに葬儀をすることはあります」とのことだった。
一方、新江ノ島水族館では開館当初から毎年の行事となっているとのことで、水族館ごとに若干の違いはあるものの、やはり慰霊は行っていた。
最後に、お隣の国、韓国ではどうなのか、気になったので韓国観光公社、日韓文化交流基金、韓国文化院など複数のところに問い合わせてみた。
電話に出てくださった方々は開口一番「聞いたことありません」と異口同音のお答え。
韓国文化院で調べていただいたところ、ソウルの動物園で慰霊祭が行われたという新聞記事があったとのことだったが、日本のように誰でも知っているというようなものではないと思います、とのことだった。
(こや)
動物慰霊祭は動物園で死亡した動物の霊をなぐさめるためのもの。ほとんどの動物園では慰霊碑が建立されていて、この時期でなくとも、年に1度は動物慰霊の行事を行っている。
ところで、この動物慰霊祭というのは世界的にみて非常に珍しい慣習なのだそうだ。東京動物園協会のお話によると、海外、とりわけ欧米ではこういった行事は存在しないそうで、日本の動物園で動物の慰霊を行っているというと非常に驚かれるのだそうだ。
では、一体いつから動物園で慰霊祭を行うようになったのか、というとこれが意外とはっきりしていないようなのである。
明治15(1882)年開園の日本で一番古い動物園、上野動物園の歴史をまとめた「上野動物園百年史」によると、慰霊祭の文字が見られるのは昭和5(1930)年。11月23日から25日に行われた「動物祭」の中で「動物玩具展」、「家庭愛玩動物展覧会」、「伝書鳩の通信実演」などとともに「動物慰霊祭」が行われたとある。「上野動物園百年史」ではこのときが初めてであったと考えられると記述しているが、断定はしていない。ちなみに、この「動物祭」では福引きも行われていて景品は山羊、小鳥、猿となっている。
動物園での福引きの景品が動物というのがちょっとすごい。小鳥、山羊はわかるとしても、猿……。もらった人のその後も気になるところではある。
そして、「動物慰霊碑」は翌年の昭和6(1931)年に建てられ、11月8日に除幕式が行われている。
今のように9月に集中して行われるようになったのは昭和48(1973)年に「動物の愛護及び管理に関する法律=動物愛護管理法」が施行され、動物愛護週間が設けられてからのようだ。
動物園での動物の慰霊について、明確な記録がないことに関して東京動物協会に伺ったところ、「おそらく、日本人の感覚として動物のお墓を作るとか、慰霊するということは宗教観とかそういうことから自然発生的に起こったものかと思います。動物園の慰霊祭は昭和5年以前もあったかもしれませんが、あまりにも普通のことなので特に記録に残していないのかもしれません」との答えが返ってきた。
確かに、昔から猫塚とか鯨塚とか動物のお墓、いわゆる動物塚は各地にあるので日本人にとっては動物の慰霊はごくごく自然なことなのかもしれない。
では哺乳類や鳥類などが多い動物園と違って魚類などを多く展示する水族館はどうなのだろう、と水族館でも慰霊祭が行われているかどうか調べてみた。
現在ある水族館の中では最も長い歴史を持つマリンピア松島水族館に問い合わせると、「毎年の行事ではありませんが、魚魂祭ということで節目節目に行っています。節目というのは何十周年とかそういうものですね。あと、ラッコとか飼育している動物ごとに葬儀をすることはあります」とのことだった。
一方、新江ノ島水族館では開館当初から毎年の行事となっているとのことで、水族館ごとに若干の違いはあるものの、やはり慰霊は行っていた。
最後に、お隣の国、韓国ではどうなのか、気になったので韓国観光公社、日韓文化交流基金、韓国文化院など複数のところに問い合わせてみた。
電話に出てくださった方々は開口一番「聞いたことありません」と異口同音のお答え。
韓国文化院で調べていただいたところ、ソウルの動物園で慰霊祭が行われたという新聞記事があったとのことだったが、日本のように誰でも知っているというようなものではないと思います、とのことだった。
(こや)
編集部おすすめ