
クレーンのアームの先には、なぜか針。筐体の中にある風船を、一直線に目指します。
奈良県某所でフラリと入った、ちょいさびれたショッピングセンター。
下から順にひやかしていったところ、上のほうのフロアに、ゲームコーナーを発見。
のぞいてみると、格闘ゲームにレーシングゲーム、スロット系ゲームなどがあるなか、クレーンゲームの筐体が何台か置いてある。
中にはぬいぐるみやボックスやブリスターパックに入ったフィギュアなどが入っていて、とりたてて目をひくものはなさそう。
そんななか、風船がいくつも入ったマシンを発見。手書きで「大当たり」とか「小当たり」とか書かれていて、「ああ、この風船が取れたら、景品がもらえるんだな」と得心し、通り過ぎようとした、そのとき。
素通りを許さない、何かの違和感。一歩戻って、その「風船キャッチャー」をもう一回見てみる。何が違う。
「違和感」の正体、それは、クレーンのアームの先に取り付けられた、千枚通しのような長い針先だった。
普通は、ボタンとともにアームが移動し、アームの先が、グイーンと開いて景品をつかみ取る、これがクレーンゲームの流れだ。しかしこれは違う。グイーンと開くべきところに、「グイーン」がない。その代わり、針がついているのである。
要は、この針で、風船を割れと。そして、風船の中にはパチンコ玉が仕込まれていて、うまく割れると、この玉が、こんどは板に釘が打ち込まれたパチンコ台ふうのエリアを転がる、そして、「大当たり」「小当たり」と書かれた穴に入れば、見事景品ゲットという仕組みだ。
見たところ、針の切っ先も鋭く、風船は簡単に割れそうではある。
100円、投入してみた。
軽快な音楽とともに、アームが動いていく。ここまではいつものクレーンゲームと同じだ。そして、アームが針をその先端に装着したまま、垂直に降下していく。はたして。
パーン!
乾いた破裂音。ひとけのないフロアに、大きな音が響く。次の瞬間、カラカラと音をたてて、パチンコ玉が釘の間を転がっていく。ほどなく、玉は一番下のハズレの穴に吸い込まれていき、終了。
あまりにあっけなく、なんか物足りない気もしたので、もう100円投入。再びパーン、カラカラ……となり、ハズレ。当たり穴の手前の釘を見ると、どう見ても入らない釘の打ち方になっているのだが、まあそれはいいや。結局、500円ぶんも「パーン、カラカラ」を繰り返してしまった。
いちおうゲームコーナーの、ヤンキー風のお兄ちゃんに、「こういうシステムの、ここだけなんスかね?」とか聞いてみたが、案の定、「さあ、分からないです」というシンプルな回答。店長かだれかのオリジナルだったら、なかなかだ。
あるべきところにあるべきものがない。それだけでも、やや刺激的な遊びになるような気がします。
風船破裂音だけは、心の準備あっても、ちょっと刺激強かったですが。買い物客にも振り返られるし。
(太田サトル)
下から順にひやかしていったところ、上のほうのフロアに、ゲームコーナーを発見。
のぞいてみると、格闘ゲームにレーシングゲーム、スロット系ゲームなどがあるなか、クレーンゲームの筐体が何台か置いてある。
中にはぬいぐるみやボックスやブリスターパックに入ったフィギュアなどが入っていて、とりたてて目をひくものはなさそう。
そんななか、風船がいくつも入ったマシンを発見。手書きで「大当たり」とか「小当たり」とか書かれていて、「ああ、この風船が取れたら、景品がもらえるんだな」と得心し、通り過ぎようとした、そのとき。
素通りを許さない、何かの違和感。一歩戻って、その「風船キャッチャー」をもう一回見てみる。何が違う。
「違和感」の正体、それは、クレーンのアームの先に取り付けられた、千枚通しのような長い針先だった。
普通は、ボタンとともにアームが移動し、アームの先が、グイーンと開いて景品をつかみ取る、これがクレーンゲームの流れだ。しかしこれは違う。グイーンと開くべきところに、「グイーン」がない。その代わり、針がついているのである。
要は、この針で、風船を割れと。そして、風船の中にはパチンコ玉が仕込まれていて、うまく割れると、この玉が、こんどは板に釘が打ち込まれたパチンコ台ふうのエリアを転がる、そして、「大当たり」「小当たり」と書かれた穴に入れば、見事景品ゲットという仕組みだ。
見たところ、針の切っ先も鋭く、風船は簡単に割れそうではある。
100円、投入してみた。
軽快な音楽とともに、アームが動いていく。ここまではいつものクレーンゲームと同じだ。そして、アームが針をその先端に装着したまま、垂直に降下していく。はたして。
パーン!
乾いた破裂音。ひとけのないフロアに、大きな音が響く。次の瞬間、カラカラと音をたてて、パチンコ玉が釘の間を転がっていく。ほどなく、玉は一番下のハズレの穴に吸い込まれていき、終了。
あまりにあっけなく、なんか物足りない気もしたので、もう100円投入。再びパーン、カラカラ……となり、ハズレ。当たり穴の手前の釘を見ると、どう見ても入らない釘の打ち方になっているのだが、まあそれはいいや。結局、500円ぶんも「パーン、カラカラ」を繰り返してしまった。
いちおうゲームコーナーの、ヤンキー風のお兄ちゃんに、「こういうシステムの、ここだけなんスかね?」とか聞いてみたが、案の定、「さあ、分からないです」というシンプルな回答。店長かだれかのオリジナルだったら、なかなかだ。
あるべきところにあるべきものがない。それだけでも、やや刺激的な遊びになるような気がします。
風船破裂音だけは、心の準備あっても、ちょっと刺激強かったですが。買い物客にも振り返られるし。
(太田サトル)
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