赤本だけじゃない 青本に黒・白・緑・紫
なぜか買ってしまった東大の「赤本」。分厚く重い。内容も重い……
この時期になると、書店の一角が山積みになった大量の赤い電話帳のような物に占領される。大学の入試過去問題集(過去問)、通称「赤本」だ。

昔から「過去問=赤本」と代名詞的に定着していて、一種の風物詩のようにもなっているが、本屋さんのそのコーナーを見てみると、やたら数が多いし、赤色以外の本も大量に積み上げられている。

実は、赤本は過去問だけではなく、さらに赤い「赤本」以外にも「色+本」の愛称がついたものがたくさん出版されているのだ。順に見ていこう。

まずは、表紙が赤色の「赤本」だ(微妙にオレンジっぽい赤色の場合も)。
一般的に「赤本」といえばまさにこれ、元祖とも言えるのが、「教学社」の大学別の入試過去問『大学入試シリーズ』と『医歯薬・医療系入試シリーズ』『獣医・畜産系入試シリーズ』。過去数年分の入試問題と解答・解説や大学の情報・傾向が載っている一番スタンダードなタイプで、全国の国公立・私立の大学の学部別・日程別に出されていて、数え切れないほどの種類が出ている。
また、大学の過去問だけでなく、センター試験の過去問が17カ年分(本試・追試)も掲載された『大学入試センター試験過去問研究』も教科ごとに出ている。さらに、『難関校過去問シリーズ』として、東大・京大の過去25カ年分の英語と数学、早慶や関関同立など難関私立の英語の問題を集めたものもある。
以上のように、「教学社」から出ている過去問が「赤本」だ。毎年約600種類出版されているようで、さすが「赤本」。

次に、赤本の次にたくさん目にする、表紙が青色の「青本」。
これは、駿台予備校の出版社「駿台文庫」から出ているもので、大学別・学部別・日程別の入試過去問『大学入試完全対策シリーズ』と、センター試験の教科ごとの過去問『大学入試センター試験過去問題集』。
過去問の「赤本」との違いは、解説がより丁寧で精錬されていること。その代わり、赤本より掲載年度数が少なく、大学の種類も少ない。
この他にも「青本シリーズ」として、駿台予備校の「入試実戦模試(東大・京大・一橋・東工大)」の過去問を教科ごとにまとめた『実戦模試演習』、駿台予備校のセンター模試の教科ごとの過去問『大学入試センター試験実戦問題集』などが出版されている。
以上、「駿台」から出ている過去問・予想問題集(模試の過去問)が「青本」だ。

そして、黒い表紙の「黒本」。
これは、河合塾の「河合出版」が出版している、センター試験の過去問『センター試験過去問レビュー』で、赤本と同じで17年分(本試・追試)も掲載されている。
予備校ということで、河合塾の「全統マーク模試」の過去問『マーク式総合問題集』も各教科出されている。
つまり、「河合塾」のセンター試験(マーク式)の過去問・予想問題集(模試の過去問)が「黒本」。表紙が黒いので、一番クールなデザインとなっている。

次は、表紙が緑色の「緑本」だ。別名「グリーン本」。
ハイレベルな通信添削で有名なZ会の「Z会出版」が出版している、センター試験の過去問『センター試験過去問』。
これは、14科目が3年分『オール14』と、英数国が10年分『英数国』が出ており、他にはない独特のタイプ。また、予想問題集は『センター試験実戦模試』が教科ごとに出ている。
以上、「Z会」のセンター試験の過去問・予想問題集が「緑本」。大学過去問は絶版になったものの、解説の評判が良く人気のようだ。

次に、白色が基調な表紙の「白本」。
これは、代々木ゼミナールの「代々木ライブラリー」から出ている。センター試験教科別の過去問『大学入試センター試験過去問題集』に、センター模試教科別過去問『大学入試センター試験実戦問題集』。東大・早稲田模試の過去問が教科別6回分の『東大入試プレ問題集』『早大入試プレ問題集』もある。
つまり、「代ゼミ」の過去問と予想問題集(模試の過去問)が「白本」となっている。

そして、最後に「紫本」。
これは、河合出版から出ている、『入試攻略問題集』で、大学(東大・京大・名大・広大・九大)の模試の過去問を教科ごとにまとめたものだ。

以上まとめると、大学入試の過去問・予想問題が出版社によって色が違い、教学社「赤本」、駿台「青本」、河合塾「黒本」「紫本」、Z会「緑本」、代ゼミ「白本」となっているわけだ。

この他にも、東海地方の大学限定で「黄本」が出回っていたりと、地域によっては色々あるとか。

ちなみに、西日本では高校・中学の過去問も「赤本」として有名だ。大阪の「英俊社」が、近畿圏と広島のほぼ全ての公立高校・私立高校・私立中学・高専などの入試過去問を出版していて、書店の小学・中学参考書のコーナーも「赤本」で埋め尽くされている。
(もがみ)
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