「オバQ」の底なしの優しさに癒されたい
5月には、久しぶりに「この人(お化け)」に会えそうです。
先日、大人のコロコロ『熱血!!コロコロ伝説』が5月25日に創刊されるというニュースが、話題となっていた。

今では単行本が絶版になっている、『新オバケのQ太郎』も掲載されるとあって、注目を集めているが、このQちゃん、子どもの頃は「気のイイ愉快なヤツ」ぐらいにしか思ってなかったが、大人になって読み返してみると、その懐の深さ、温厚な人柄に、つくづくしびれてしまう。


もともと「保護者的存在」といわれるドラえもんに対し、あくまで「お友達」とされるQちゃん。
でも、無償の愛を注いでくれる、バカみたいに優しいQちゃんは、大人になってから見ると、「理想の彼氏・ダンナ像」にも思えるのだ。

まず、Qちゃんが愛するのは、「おでぶで、おてんばだけど、気のいいやつ」というU子さん(『新オバケのQ太郎』1巻)。
「あの美しさは、この世のオバケともおもえないもんねえ。ギョロッとしたあのひとみ。ぶあついくちびる。
ふとめのほっぺた。はげた頭。口ではいいあらわせないのだ」と、Qちゃんにかかれば、どんな欠点もチャームポイントになってしまうのだ。言われて嬉しい言葉かどうかは、別として。


また、U子に「遊びに来て」と言われ、行ってみるとそこに待っているのは、洗濯物の山か、散らかった部屋。散々働かされて追い返され、一度は絶交を決意するにもかかわらず、夕食に招待されたらすぐに赴き、またしても買物、掃除、料理を全部やらされたあげた挙句に、「じゃまたね」と言われ、自分の手料理すら食べずにあっさり帰ってくるのである。

しかも、日頃から、彼女の柔道の新技の実験体になってもくれている。なんてイイ人!

これだけでは単に「都合の良い男」のようでもあるけれど、Qちゃんのスゴイのは、誰に対しても分け隔てのないこと。
正ちゃんの兄・伸ちゃんのクラスのマドンナ「伊奈子さん」を、クジラのおならの話で爆笑させ、以来、彼女に「精神安定剤」としてちょくちょく呼び出されるQちゃん。さらに、そんなマドンナの誘いにも、「いまいそがしいんだ まんじゅうをたべるんだ」なんて理由で、あっさり断ってしまう執着心の薄さは、モテ男ならではじゃないだろうか(新2巻)。

その一方で、「いつもドロ足」で、クラスで1番人気のない女子・バケ寺ベソ子さんに対しても、同じように振る舞い、「さっぱりしてて、いいひとだね」と、意気投合してしまうQちゃん。

また、「家族サービス」という名目で、自分よりずっと出来のいい弟・妹をムリヤリ動物園に連れて行ったはいいが、迷子になり、「ソフトクリーム買ってほしいだろ!」とムリヤリ買い与えたものの、結局、お金がなくて弟妹に立て替えてもらうというドジぶりも、実に微笑ましい。


涙もろくてお調子のりで、忘れっぽくて、底なしに優しくって、ちょっとバカ。そんなQちゃんに、大人はきっと心がぽかぽかしちゃうはずです。
(田幸和歌子)