いまや「自然解凍」に不可能はないのか
お弁当作りも、便利な時代になりました。
いまや「レンジでチン」どころじゃなく、ハンバーグも唐揚げも、グラタンだって、朝凍ったまま弁当箱に入れておけば、「そのまんま自然解凍」で、お昼には食べごろに、できちゃう時代。
ハンバーグすら自然解凍でOKとなると、もはや不可能はないんじゃないかとすら思えるほどだ。


それにしても、なぜ近年、「自然解凍冷凍食品」が急激に増えてきたのか。何かめざましい技術の進歩があったとか? 味の素冷凍食品株式会社に聞いた。
「お弁当作りでは『調理時間を短くしたい』、『手間を省きたい』という意識がもともとありました。それが、加工品につきものの菌の増殖を抑制できる技術が確立されたことや、自然解凍しても高レベルの品質を維持できる技術が確立されたことが大きな原因です」
と言うのは、マーケティング本部マネージャーの羽賀さん。
具体的には、お酢やショウガなど、食品を利用して、菌が増えにくいレシピに見直したことなどが、大きなポイントとなっているよう。

ところで、自然解凍できる商品はもともとあったが、その認知度は70%(同社調べ 以下同)と高いものの、「利用したい」と答える方は55%と、「温度差」があったという。

「ただし、リピート率は70%と高かったんですよ。それが、消費者が求める商品を提供できるようになり、またTVCMや、店頭でのコーナー化などによって、認知度も高まっているのだと思います」
これらの自然解凍品は、やはり弁当向け商品であることから、主に30代、40代の主婦などに売れているのだそうだ。

ところで、自然解凍できるもの・できないものは、現時点の技術ではどのあたりが境界線なのか。
「メニューではなく、どういう素材を使用するかが大きく影響しますので、一概には言えませんが……野菜類でも葉物は比較的自然解凍しやすく、根菜類は難しいと思われます。また、水分を多く含んでいるものは解凍時に離水しやすく水っぽくなりますので、難しいですね」

ちなみに、今のところ、同社では約70商品のうち7品が「自然解凍冷凍食品」というが、将来的には、「主力のお弁当メニューは全て自然解凍にしていく予定」なのだとか。

自分自身、先日、小学生になった子どものために、生まれて初めて2週間ぶっ続けで弁当を作ってみたのだが、もう精も根も尽き果てた。

そんなとき、レンジすら使わずに、入れるだけで「もう1品」を埋めてくれる自然解凍冷凍食品は、確かに便利。お母さんたち、ずいぶんラクな時代になりましたよ。
(田幸和歌子)