私鉄の車内放送に異変!?
写真は阪急電車(上)と近鉄電車(下)
「次は、恵比寿、恵比寿です」

こんな電車の次の停車駅を案内する車内放送を、毎日電車通勤・通学をされている人なら、イヤというほど聞いていることだろう。この車内放送、鉄道会社によってそれぞれ特徴があったりするが、その特徴が最近なくなってきている。


一般的に車内放送は、JRが「です」調なのに対して、私鉄は「ございます」調を用いるなど、私鉄は言葉遣いが丁寧なことが多かったりする。しかし、ここ数年で、大手私鉄からは「ございます」の放送が消えていっているようだ。

JRの次駅案内の車内放送は、冒頭に書いたとおり、「次は、大阪、大阪です」というパターンが多い。
それに対して、例えばかつての阪急電車は、車内放送もブランドイメージの高さを反映してか、特に言葉遣いが丁寧で、次駅案内は「次の停車駅は、十三でございます」といった感じだった。また、近鉄でも、以前は「次は上本町、上本町でございます」と「ございます」調だった。
しかし、阪急でも近鉄でも、車内放送がそれぞれの「ございます」調から、「です」調のJR式の放送に変わってしまった。
このほかの私鉄でも、車内放送の語調に変化があるそうだ。

どうして丁寧な放送をやめてしまったのだろうか? 特色がなくなってしまったのだろうか? 鉄道会社に問い合わせてみた。

まず、阪急電鉄の場合、2005年10月から語尾を「〜でございます」から「〜です」へ変更するなどの、車内放送の表現変更が行われたらしい。つまり、駅出発後の次駅案内は、「次の停車駅は、十三でございます」から「次は、十三、十三です」に変更されたわけだ。理由としては、乗客から「語尾が不明瞭である」、「独特の節回しがある」などの意見があったからだとか。

また、近鉄の場合は、2005年6月から放送用語を従来の「ございます」から「です・ます」調に変更したそうだ。
こちらも乗客からの「放送がうるさい」、「くどい」などの意見に応えた結果だとか。語調だけでなく、要点を押さえた簡潔でわかりやすい放送を目指し、行き先・種別の繰り返し表現を削減などの見直しも同時にされたらしい。

阪急、近鉄ともに、理由は「わかりやすくするため」。
個人的には、以前の丁寧な「ございます」調のほうが気にいっていたが、どうも電車内においては、簡潔で分かりやすい表現が好まれるみたいだ。確かに、ラッシュ時に「車内放送うるさいな!」って思う気持ちも分からなくはない。

しかしながら、車内放送からは「ございます」が消えてしまったものの、阪急・近鉄、そしてその他の私鉄でも、駅での放送では未だに「ございます」が健在のところが多い。
ラッシュ時の「車内が混雑してご迷惑をおかけします」等の車内放送も健在。
そういえば、私鉄だけでなく、公営であまり放送が丁寧なイメージのない大阪市営地下鉄でも、駅員さんがマイクで放送するときは「ございます」調。

鉄道会社は、放送に関して絶え間ない努力をしているのだなぁと感じた次第であります。
(もがみ)