
今日、ご紹介するのは『ドラゴン桜』の連載が6月末で完結したことを記念して刊行された、2冊目のドラゴン桜公式本。その名もドラゴン桜公式ガイドブック『東大へ行こう!完全版』。ちなみに、1冊目は先日すでにご紹介した『16歳の教科書』である。
『16歳の〜』がどちらかといえば勉強することの意味そのものを説く本だったのに対し、この『東大へ行こう!』は作中で登場した全ノウハウがぎゅっと1冊にまとめられた実用書。
『ドラゴン桜』本編が偏差値30台の落ちこぼれ高校生が、たった一年で東大合格をめざすストーリーだったことから、高3の春〜受験直前までの1年の時系列に沿って、何をどうこなしていくべきなのか具体的なテクニックから心理的なサポートまで、桜木を筆頭に龍山高校のそれぞれキャラの立った先生たちが徹底指導してくれる。
さっそく読んでみたところ、「要点は書き写すのが一番 蛍光ペンで線を引くな!」とか「見かけに騙されず長い文章題から解け!」などなど、今さらながら自分の勉強法は思いっきり間違っていたんだなぁ……と痛感させられる内容だった。
また、東大は日本の最高学府であることは間違いないけれども、「入りやすいか、入りにくいか」の視点で見ると決して最難関とは言い切れないらしい。というのは入学定員が1学年総数で約3200人とかなり多いこと、また入試問題そのものも東大は受験の王道を歩まねばならないという使命を担っていることから、「教科書のレベル」を大きく逸脱するような難問は出題されないとか。
これってかなり、意外な事実ではないでしょうか? こういう知識があるかないかによっても、勉強法や心構えなどがずいぶん変わってきそうですよね……。
また、合間に「東大トリビア」的なコラムページがあり、個人的にはそこがいちばん興味深かった。たとえば、東大合格者の志望動機アンケートで「なにがなんでも、東大に入りたかった」と答えた学生が60.8%いるのに対し、「他大学がだめなら東大でもよいと思った」と答えた東大すらすべり止め感覚で受ける学生が約2%存在するなどのデータにはビックリ(海外の大学を志望していたのか、通学上の理由なのかは不明)。
最近では「格差社会」などという言葉がまかり通っていて、小学校の「お受験」の段階で失敗したり、有名私立に進む社会的地位と経済力のある家庭じゃないと明るい未来がないようなイメージが社会にまん延している気がする。
(野崎 泉)