焼き肉にもマナーってあるの?
タン塩→カルビ→モツ系が一般的な流れであっても、逆行しちゃったって悪くはないのです。
「焼き肉はフツウ、タン塩からだろうがっ(怒)」と言う人もいれば、「好きなもんからでいいじゃん」とカルビばかり食べる人もいる。私の友人(女)などは「ミノとビールだけありゃいい」と、最初から最後までミノを食べ続けているけど……。


一見うるさくなさそうな焼き肉にも、寿司などのように、本当は「食べる順序」や、マナーってあるもの?
全国焼肉協会に聞いた。

「基本的には焼き肉には『かくあるべき』というものはありません。ただし、お店でコース料理的にセッティングされているものはあり、その順序としては、日本の会席料理のイメージを踏襲しているのが一般的ですね」
と、事務局長は言う。
具体的には、「前菜的なもの」=サラダやナムル、キムチなどから始まり、「焼き物」=海鮮モノなど、次に「肉」、最後にごはんとなる流れが一般的だとか。

じゃ、「肉」の順序は?
「やはり『タン塩』からが多いですね。次にカルビ、その後に、モツ類・内臓などが続くようです」
お寿司なんかで言われるのと同じように、「あっさりめ→徐々に濃い方向に」というのは、やはり予想通りだが、特にモツ類などは、
「ある程度食べ進んだところで、徐々に刺激の強いものとなってくるから、弾力性があり、肉にクセがあって味が濃い内臓系が欲しくなるんでしょう」
とのこと。


ただし、これは「一般的な流れであって、マナーではない」と事務局長。もちろん「最初からカルビ」も「最初からメシ」も「ミノ、ミノ、オールミノ!」も、なんだってアリだそうだ。
「焼肉は、いわば『アンチマナー』。ワイワイガヤガヤが焼き肉のいちばんの楽しさであって、良いところ。おしきせではないんです。そもそも、ロースターを客席に取り込んで、『好き勝手に焼いてくれ』というのは、マナーを重視するものではありえないですよね?」
道理である。


ただし、芸能人が行くような高級な焼肉屋では、全部つきっきりでサービスしてくれるけど……。
「確かに高級店では全部やってくれますが、それとて『いいから、任してくれ』というお客さんは多いんですよ。やっぱり焼き方にも好みがあるし、そこが焼き肉料理の良さですね」

あくまで個々の「好き勝手」「自由」を認めつつも、「どこでひっくり返すか見当もつかない人にはアドバイス」「話に夢中で焦げついているような人には一声かける」程度が、お店側の配慮とか。

焼肉店では、アレコレ難しく考えたり、こうるさい薀蓄など抜きにして、存分に楽しく食らいましょう。
(田幸和歌子)