巨大なものは美味しいの?
キノコ狩りガイドブックに乗っていた写真を参考に絵を描きました。<br>人々の足元にあるもっこりしているのがニオウシメジ。で、でかいです。<br>きのこの傘はブナシメジのように丸まってはいませんがその姿はブナシメジをまんま巨大化した感じ
秋になると毎年各地で行われているのがジャンボかぼちゃ大会だ。
普段私たちが食べているカボチャの大きさから比べてケタ違いにでっかいカボチャは見るだけで感動もの。
毎年香川県の小豆島で開催されている「日本一どでカボチャ大会」の優勝カボチャは466.9キロというから、普通のカボチャを2キロ前後とすると約235倍の大きさ。

ところでこのカボチャ、美味しいのかというとちょっと微妙らしい。
以前、この大会の関係者の方にお話を伺ったのだが、カボチャは「アトランティックジャイアントカボチャ」という飼料用の品種なのであんまり美味しくないとのこと。実は柔らかくて水っぽいので煮付けなどにはむかないと言っていた。ただ、パンプキンパイなどのようにちょっと加工すると意外とイケるのだそうだ。

そしてもう一つ、ジャンボスイカ。
こちらも米国原産で、飼料用として栽培される「カロライナクロス」という品種。食べられないことはないとのことだけれど、糖度が低いのでやっぱりあまり美味しくないのだそうだ。

そして、馴染みある食べ物で巨大なものとして取り上げられるのが深海に生息していると言われる巨大イカ「ダイオウイカ」。生きた姿は昨年12月に世界で初めて映像に撮られたという幻の生物。これをスルメイカやヤリイカと一緒に考えるわけにはいかないけれど……。こちらは言わずもがな、という感じだがやっぱり美味しくないらしい。ダイオウイカは体組織を海水と同密度に維持するために塩化アンモニウムが大量に含まれているので、強いアンモニア臭がするのだそうだ。


じゃ、全部巨大な食材が美味しくないか、というとそうでもない。
巨大なんだけどめちゃくちゃ美味しいものがあるのだ。それは「ニオウシメジ」。
スーパーなどで売られているブナシメジをそのまま巨大化したようなきのこで、1株が100kgを超えることもある。株立ちのきのことしては世界でも最大級ということでギネスブックにも載ったことがあるとか。

実はこのニオウシメジ、日本で発見されたのは最近のことで1974年に熊本県で発見されたのが最初という。
その後、1978年に沖縄県でも発見され、以降は毎年各地で見られるようになり、1981年に日本新産種として正式に発表されたのだそうだ。

ニオウシメジを食べたことのある方に話を聞いたのだが、それはそれはおいしいということで味も香りも抜群とのこと。きのこに酒と醤油をちょっとたらして焼いて食べるという食べ方があるけれど、酒や醤油を使うのも惜しいくらいに、本当にきのこそのものが非常に美味しい味とのことだった。話を聞く限り、これはマツタケの上をいっているな、という感すらあった。ただ、偶然、発見されることはあっても、探しに行って見つかるものではないのでみなさまくれぐれもその点をお忘れなく。
(こや)
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