
Mさんにいただいたチェコのカレンダー。このように日付けと名前がリストになっているページもある
輸入関連の仕事をしている知人のMさんは、たびたび海外出張にいく。主にチェコやフィンランドに出かけることが多いようなのだが、先日そんなMさんから面白い話を聞いた。
チェコには「名前の日」があるというのだ。毎日、男性女性どちらかの名前がつけられていて、その「名前の日」と同じ名前を持つ人は、まるで誕生日のように「名前の日おめでとう!」とお祝いされるのだとか。
Mさんの下の名前はMisa(ミサ)なのだが、チェコでいうMichaelaを略したものと同じことから、10月19日のMisa(撥音はミシャ)の日にはチェコの友だちからいつも「名前の日、おめでとう!」というメールが届くのだという。
これについて知り合いのチェコ語翻訳家のKさんにも聞いたところ、同じように答えてくれた。Kさんはしばらくチェコに留学していたことがあるのだが、そのときも「今日は友だちの名前の日だから花を買っていこう」といった具合に、「名前の日」にはちょっとしたプレゼントをする習慣もあり、誕生日が2回あるみたいだったとか。
とはいえ、1年は365日しかないので、もちろん「名前の日」にあてはまらない人もいる。「名前の日」についている名前というのはスタンダードなものがほとんど。欧米の影響もあり、チェコにも日本と同じように名前に流行があることから、「名前の日」にあてはまらない名前が増えてきているのも事実のよう。
ちなみに、ほかにも日本人の名前であてはまる人がいないかどうか聞いてみたところ、エリカ(4月2日)、アナ(7月26日)、ハナ(8月15日)、マリナ(10月10日)などがあがった。私の名前「カオリ」はどうかと聞いてみると、それはありえないそう。というのもほぼ全部といっていいほど、チェコの女性の名前は「a」で終わるからだとか。これまたユニークな文化。
それはそうと、しばらくしてMさんから、フィンランドにも「名前の日」があることがわかったという連絡が。するとこんどはKさんから、ドイツやポーランドにもあったのではないかという話がきた。
そこでさらに調べていくと、この名前というのは、それぞれキリスト教の守護聖人の名前に由来しており、スウェーデン、フランス、イタリア、ギリシャ、スペインなど、ヨーロッパのほとんどで「名前の日」は存在していたのだ。信仰が篤い人にとっては、誕生日よりも重要な日になることもあるようだ。日本のWikipediaにはないが、海外版では「Name Days」として紹介されており、「ヨーロッパでは一般的な慣習。キリストの教会のカレンダーに由来し、聖人の名前にちなんで子どもの名前をつける伝統があった。現在、教会とのつながりはなくなっている国が多い」と記してあった。
なるほど。今から日本に「名前の日」をつくるのは難しいかもしれない。でも宗教とは関わりなく、もしも日本にも「名前の日」をつくったら……。あったら楽しそうではあるけれど、どの名前を入れるかでまず揉めごとになりそうですね!
(田辺 香)
チェコには「名前の日」があるというのだ。毎日、男性女性どちらかの名前がつけられていて、その「名前の日」と同じ名前を持つ人は、まるで誕生日のように「名前の日おめでとう!」とお祝いされるのだとか。
Mさんの下の名前はMisa(ミサ)なのだが、チェコでいうMichaelaを略したものと同じことから、10月19日のMisa(撥音はミシャ)の日にはチェコの友だちからいつも「名前の日、おめでとう!」というメールが届くのだという。
これについて知り合いのチェコ語翻訳家のKさんにも聞いたところ、同じように答えてくれた。Kさんはしばらくチェコに留学していたことがあるのだが、そのときも「今日は友だちの名前の日だから花を買っていこう」といった具合に、「名前の日」にはちょっとしたプレゼントをする習慣もあり、誕生日が2回あるみたいだったとか。
とはいえ、1年は365日しかないので、もちろん「名前の日」にあてはまらない人もいる。「名前の日」についている名前というのはスタンダードなものがほとんど。欧米の影響もあり、チェコにも日本と同じように名前に流行があることから、「名前の日」にあてはまらない名前が増えてきているのも事実のよう。
ちなみに、ほかにも日本人の名前であてはまる人がいないかどうか聞いてみたところ、エリカ(4月2日)、アナ(7月26日)、ハナ(8月15日)、マリナ(10月10日)などがあがった。私の名前「カオリ」はどうかと聞いてみると、それはありえないそう。というのもほぼ全部といっていいほど、チェコの女性の名前は「a」で終わるからだとか。これまたユニークな文化。
日本人でいったら、今は少なくなってしまったが、全部が「子」で終わる感覚だろうか。
それはそうと、しばらくしてMさんから、フィンランドにも「名前の日」があることがわかったという連絡が。するとこんどはKさんから、ドイツやポーランドにもあったのではないかという話がきた。
そこでさらに調べていくと、この名前というのは、それぞれキリスト教の守護聖人の名前に由来しており、スウェーデン、フランス、イタリア、ギリシャ、スペインなど、ヨーロッパのほとんどで「名前の日」は存在していたのだ。信仰が篤い人にとっては、誕生日よりも重要な日になることもあるようだ。日本のWikipediaにはないが、海外版では「Name Days」として紹介されており、「ヨーロッパでは一般的な慣習。キリストの教会のカレンダーに由来し、聖人の名前にちなんで子どもの名前をつける伝統があった。現在、教会とのつながりはなくなっている国が多い」と記してあった。
なるほど。今から日本に「名前の日」をつくるのは難しいかもしれない。でも宗教とは関わりなく、もしも日本にも「名前の日」をつくったら……。あったら楽しそうではあるけれど、どの名前を入れるかでまず揉めごとになりそうですね!
(田辺 香)
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