そういえばクーピーってなぜ手が汚れないの?
クーピー独特のなめらかで光沢感のある仕上がりは、発売以来多くのファンに愛されている。(株)サクラクレパスにはクーピーで色を塗った持ち込み作品がけっこう届くそうだ
大人から子供まで幅広い世代に親しまれているクーピーペンシル。私も子どもの頃からお世話になってきたが、最近甥っ子の塗り絵を手伝っていて、昔から疑問に思っていたあることが、ふと頭をよぎった。

そういえばクーピーって、クレヨンのように紙が巻いてあるわけじゃないのに、なぜ手が汚れないんだろう? 軸全体が芯になっているのにどうして??
クーピーの発売元、株式会社サクラクレパスの商品企画部に聞いてみた。

「クーピーはクレヨンや色鉛筆に比べて、融点(溶ける温度)が約140℃と非常に高いんです。原料の一部にプラスチック樹脂を使い、プラスチックと同じような製法を採用しているため、溶けて手を汚す心配もありません」
この独特の製法は、1973年の発売当時から続けられているのだとか。なるほど、プラスチック樹脂を使っているから丈夫で折れにくいんですね。
また、プラスチック樹脂のほかに、消去性に優れた材質の樹脂も使用しているので、従来の色鉛筆より消しゴムで消しやすい点もポイントだという。

そもそもクーピーペンシルは、色鉛筆の使いやすさとクレヨンの発色性を兼ね備えた、新感覚の色鉛筆として開発された。

クーピーの名前は、フランス語で「打つ」、「一撃」を意味する「COUP(クー)」という単語に「Y」をつけて、クーピーと耳にやわらかく響くように工夫された造語。あの商品名には、「これまでにない『消しやすさ』と『軸全体が芯』という新機軸で、色鉛筆市場に一撃を加えたい!」という意味があったのだ。クーピーにそんな思いが込められていたとは……! 熱いロマンを感じさせるエピソードだ。
ちなみにクーピーは、ツルツルの紙より凹凸のある紙の方がよりキレイに発色するとのこと。そう言われてみれば、塗り絵の本や画用紙にはザラリとした風合いの紙が多いかも。いや、勉強になります。


最近は大人の塗り絵ブームを受けて、重ね塗りに適した『クーピーペンシル30 カラーオンカラー』という30色セットも発売しているそう。この「カラーオンカラー」、大人の塗り絵に合わせて選んだ特別配色なので、塗り絵ファンは必見! 時代のニーズに合わせて、クーピーも進化を続けているんだなぁと実感しました。
現在、サクラクレパスでは大人の塗り絵の普及をめざし、大阪本社や全国各地で「大人の塗り絵教室」を開いている。興味のある人はぜひ参加してみよう!
(藤井春香)

(株)サクラクレパスHP