香りつきトイレットペーパー、その存在の秘密
芳香剤がなくても、トイレがいい香りに包まれるわけです。
みなさんはトイレットペーパーを買うとき、何を基準に選んでるだろうか。シングルかダブルかで選んでる人、ふわっと感を大切にする人、安ければ何でもいい人など、基準は人それぞれ。

その中に、「香りつきと香りなし」っていう選び方がある。

トイレットペーパーから上品に漂う、花や果物などの香り。
ただよく考えると、香りつきの存在理由は謎。ウチでもなんとなく使ってるけど、すでにトイレには芳香剤が置いてあるわけで、トイレットペーパーからも香らせる必要性はない気もする。拭いたお尻から香りを漂わせたいっていうニーズを、掘り起こそうとしたとも考えにくい。

どうして香りつきのトイレットペーパーが存在するのか、エリエールなどを販売している大王製紙株式会社ホーム&パーソナル事業部と、スコッティなどを販売している日本製紙クレシア株式会社に話を伺った。
すると、両社からほぼ同じ答えが返ってきた。
「香りつきのトイレットペーパーは、芳香剤がなくても、ほのかな香りがトイレを包むよう作られています」
存在理由は、なんと芳香剤の代わりとしてだった。ウチでは芳香剤を置きつつ、タンクに香りつきの洗浄剤を置きつつ、香りつきトイレットペーパーを使ってた……。

昔の新聞によると、香りつきトイレットペーパーが増え始めたのは1990年ごろから。その背景には、水洗トイレの普及もあったという。強い香りが必要なくなったことから、トイレットペーパーのほのかな香りで充分になったらしい。

ただ、芳香剤で香りを楽しみたい人も多いことから「万人が好むキツすぎない香りをつけております」(日本製紙クレシア)という配慮も。僕みたいに、併用することも考えられてるみたいだ。

ところでもうひとつ疑問が。この香りって、どうやって出してるんだろう。紙に香料を染みこませてるとか?
「いえ、紙に染みこませているわけではありません。芯に紙を巻きつけるとき、芯の外側に香りをつけているんです」(大王製紙)
「工場によって違いますが、芯の外側や内側に香りをつけています。
紙に香りをつけてしまうと、衛生的にも良くないですし」(日本製紙クレシア)
えっ、紙には香りがつけられてなかったの? 実際に紙からも香りがするけど……?
「パッケージの中にこもった香りが、紙に染みついたと考えられます」(日本製紙クレシア)
へぇ〜、それでちぎった紙からも香りがしてたんだ。

また、一部のメーカーの製品では「香りを混ぜて芯を作る」という方法もとられているという。ただなんにしても、香りがつけられているのは芯の部分。衛生面に加え、コストを考えても、芯に香りをつける方法が最適のようだ。

控えめに香る、香りつきトイレットペーパー。
それは“芯に香りをつける”ことで“芳香剤代わり”になるという、とても合理的なものだった。

(イチカワ)