
ちょっと前に屋久島に行ったとき、テレビのローカルニュースでこんなテロップが流れた。「帰鹿」ってなに、と頭の中がしばらく「???」となったのだが、ニュースの中身はといえば、鹿児島出身の北京オリンピック代表選手がゴールデンウィークに里帰りした、という内容。
筆者は長野県出身だが、「帰長」なんて文字は見たことがない。他県はどうなのだろう。鹿児島のお隣、東国原知事で知名度急上昇中の宮崎はどうだろうか。宮崎市観光協会に電話をしてみた。
「鹿児島の『鹿』を『宮』に変えて、『帰宮(きぐう)』と言います。ただし、正式な表現ではありません」
おお、宮崎でも使うらしい。お次は北陸、石川県。金沢出身の友人に聞いてみた。「帰金」というのかな。
「父が日記なんかに、『帰沢』って書いてた。そう言えば」
これは、「きたく」ではなく「きさわ」と読むらしい。
一方、稚内、一ノ関(岩手)、福島の友人達からは「そんな表現はない」という回答が。土地土地によって、使われていたり、使われていなかったりするようだ。「帰」の文字に自分の故郷の一文字を付ければ出来ちゃう簡単な表現なので、最近はブログなんかで造語として使っている人も多いみたい。
さて、ここでひとつ応用編を紹介。それはお客さんを迎える時の表現。この前、金沢在住の友人から「来沢お待ちしております」というメールが来た。そう、「帰」を「来」に変えれば、その土地に来る、という表現になるのだ。来札(札幌)、来宮(宮崎)など。遠くまではるばるようこそ、という感じがチョットいいのだが、この表現には全国に2カ所だけ例外がある。さあ、どこだろう。
それは東京と京都。それぞれ「上京」「上洛」となる。この2つは辞書にも載っている正式なコトバで、歴史の重みがある。
(R&S)
※上記の記事内容に誤りがございました。『名古屋の友人達からは「そんな表現はない」という回答が。