ようやく手にしたツアー初優勝が公式戦であれば、本来なら喜びがあふれてもおかしくない。しかも、今年で52歳、プロ転向から丸29年という遅咲きの初タイトルであればなおさらだが、優勝カップとともに手元に残ったのは2つの“情けなさ”だった。
藤田寛之 最新ドライバースイング【連続写真】
最終18番を迎えた時点で、トータル9アンダー・単独首位。初優勝が目前に迫る中、18番パー5のティショットは右サイドのラフだった。ツマ先下がりとはいえピンまで残り230ヤードであれば、2オンも狙える状況。最初に握ったのはクリークだったが、練習ラウンドでのワンシーンが頭をよぎる。同じ状況でラフから打ったショットがミスになり、「悪いイメージだったから打てなかった。こういうところが情けないですね」と5番アイアンに持ち替え、3オン2パットのパー。
再び18番で行われたプレーオフ。54ホール目と同じようにティショットは右サイドのラフに入ったが、ここでは迷わずユーティリティを選択。「10ヤードくらい前だったのと、負けても2位だと思っていけた」。清水がパーオンに失敗する中、20m弱のイーグルパットを残して2オンに成功した。
待ちに待った優勝の瞬間はすぐそこ。
優勝を決めて、真っ先にグリーンに駆け寄ってきたのは寺西明。3年ほど前から高橋勝成と寺西の下で練習を積み、2人からは様々な助言を受けてきた。
それでも最後はドタバタした感があるが、トップで大会を終えた事実は間違いない。9月の「日本シニアオープン」を制した寺西に続いて、“同門”での公式戦2勝。「それが一番うれしいですね。お二人には本当に感謝です」と笑顔がこぼれる。
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