新しい年が幕を開けた。
2021年のゴルフツアーは、どのようになっていくのか。
検査によって判明したcovid-19(新型コロナウイルス)の陽性者数が増えている状況を見ると、何とも予測がつかない。陽性者数の特に多い一都三県には、この週末にも2度目の緊急事態宣言が出される方向だという。計画性もなく右往左往する政治と、数字だけで人々を煽る多くのメディアに振り回される日々は、いつ終わるかもわからない。
ネガティブな話ばかりしていても仕方ないので、どうすれば、人々がゴルフを楽しめるか、ということを考えてみよう。
プロのトーナメントに関して言えば、主催者が企業である以上、つねに“体面”が優先順位の上位に来る。大会を開催することで、企業イメージを損なうのでは本末転倒だからだ。
だったら、ツアー(JLPGA)が腹をくくればいい。
例えば「Xレディース」という試合が主催者の判断で中止になるのなら、その週にツアー主催で試合をすればいい。もちろん、本来の主催者とは様々な交渉をした上で、だ。近い将来、全ての試合を自分たち主催にしようとしている日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)にとっては、絶好の試金石になる、と言い換えてもいい。
交渉によって元々の主催者が、特別協賛のメインスポンサーになってくれるのなら、大会名称はXレディースのままでいい。主催者はツアーになり、賞金額が変わったり、他のスポンサーがついたり、場合によっては開催コースが変わるかもしれないが、無事、試合ができる。
ギャラリーを入れて“興行”としてきっちり収入も得る。念願の放映権料についても、自分たちで交渉して取れるかどうか試してみればいい。ネット配信についても同様だ。
感染拡大リスクを最小限に抑えるのは当然のこと。賞金の規模が小さくなったり、ギャラリー数を制限したりするのはやむを得ない。それでも、試合がないよりはあったほうがいいのだから。
それでいくつ試合が行えるのか。JLPGAの力を示したり、試したりしながら、既存のシステムを抜け出すには、一番いい方法だ。
さらにリスクを減らしたいのなら、宿泊施設と食事をする場所のあるコースで試合を開催することを考えればいい。日本ではかなり限られるが、それでもリゾート地のコースなどなら不可能ではない。
こんな風に書くと「これまでの権利があるから」とか「お金が足りない」「スタッフが足りない」など、できない理由がたくさん出て来て「机上の空論だ」という声が必ず聞こえて来る。それを、主催企業や広告代理店、テレビ局、運営会社などが言うのならわかるが、ツアーが目指す方向性はそこではないのか。

主催権も放映権も手に入れようとしている今、この状況を逆手に取れなくてどうする。ウイルス感染拡大防止を理由に、主催者が試合をできなかったり無観客にするのなら、自分たちで職場をつくる。ツアーが責任を持ってそれができるなら、主催権も放映権も、自然に手に入れることができるだろう。
3月開幕予定の女子ツアーは、観客を入れる方向で準備を進めていた試合がいくつかある。だが、状況が大きく変わった今、それもどうなるかわからない。だったら、ツアーが先手を打つのはどうだろう。
覚悟を決めてその方向性を打ち出すことで、様々な道が開けるのだが。そこまで腹はくくれないのだろうか。(文・小川淳子)