25日に米ジョージア州で成立した「新選挙法案」はゴルフ界にも波紋が広げている。同法案は州内の投票行動を規制するもので、「黒人などのマイノリティを標的にしているもの」と見られている。
そのため「ナショナル・ブラック・ジャスティス・コアリッション(NBJC)」(黒人人権擁護団体)が米PGAツアーとマスターズ委員会に「同大会をジョージア州オーガスタのオーガスタ・ナショナルGCでの開催の中止を求め、選手たちにはジョージア州での大会のボイコットをするように求めている。
共和党議員の主導によって成立した同法案は、不在者投票の歳に身分証明の厳格化や、投票のために列に並ぶ有権者への食事や水などを提供することを禁止したもので、共和党のケンプ知事が署名、本来は共和党が強い地盤のジョージア州だが、昨年の米大統領選で民主党候補のバイデン氏が勝利、共和党のトランプ氏が敗れた。
「この法案は公民権運動の時代へと逆戻りさせるものだ」とNBJCのディレクター、デービット・ジョンソン氏。「PGAツアーもマスターズ・トーナメントも人種差別問題があるところでは大会は開催しないとしている。我々は両団体に声を挙げるだけではなく、行動をみせることを望んでいる」と言う。
オーガスタ・ナショナルGCは長らく黒人や女性メンバーがいなかったが現在は門戸を開いている。
また4月には初めて黒人としてマスターズをプレーしたリー・エルダーをオナラリースターターとして迎え、ジャック・ニクラウス、ゲーリー・プレーヤーとともに始球式が行われる。
バイデン大統領は「このジョージア州の選挙法案は凶悪なもの」と批判する。
現時点ではPGAツアー、オーガスタ・ナショナルGCともにコメントは出されていないが、7月にアトランタで開催されるメジャーリーグのオールスターゲームはすでに開催地を変更する声が上がっている。(文・武川玲子=米国在住)