全米プロゴルフ選手権 3日目◇22日◇キアワ・アイランド・ゴルフリゾート オーシャンコース(サウスカロライナ州)◇7876ヤード・パー72>
世界一のプロゴルファーを決める「全米プロゴルフ選手権」も残すところ18ホール。メジャー史上もっとも長いコースの開催で、3日目を終えて単独首位に立つのは50歳のフィル・ミケルソン(米国)だ。

初日を2アンダーにまとめると、2日目には後半「31」をマーク。3つ伸ばしてトータル5アンダーの首位タイに躍り出た。そして3日目は10番までに5つスコアを伸ばし、二桁アンダーに乗せる快調ぶり。終盤はやや失速したが、トータル7アンダーで単独トップの座を射止めた。
「自分を信じているし、まだメジャーで優勝争いができると思っている。そういう気持ちのおかげで焦ることもないし、いまに集中している」
大ベテランらしい言葉でこの位置を振り返ったミケルソン。
優勝について聞かれても、「いくつか今夜やらないといけない準備があるし、いまは考えていない。今日のことを振り返ることもしないよ。ただ、楽しくプレーできているし、みんなのサポートに感謝している」と、大記録を前にも落ち着きは変わらない。
大記録とは、もちろん50歳での優勝こと。これまでのメジャー大会最年長優勝は1968年に本大会を制したジュリアス・ボロス(米国)の48歳。50歳を過ぎてのメジャー制覇はこれまで誰もなし得ていない。
周囲が色向き立つなか、果たしてミケルソンは最終日も冷静さを保って、栄冠を勝ち取ることができるのか。
ちなみに、ミケルソンがメジャー大会で54ホールを終えて首位か首位タイに立ったのは過去5回。そのうち3回は優勝。前回首位で迎えたのは2013年の「全米オープン」で、このときは2位に甘んじた。
また、50歳代の選手がメジャー大会の最終日最終組を回るのは、1934年以降でこれが4回目となる。
・1973年 全米オープン、ジュリアス・ボロス(当時53歳)、結果:7位タイ
・2008年 全英オープン、グレッグ・ノーマン(当時53歳)、結果:3位タイ
・2009年 全英オープン、トム・ワトソン(当時59歳)、結果:2位(プレーオフ)
過去に3人しか果たしていない領域に進むミケルソンだが、このなかでは最年少の50歳。
19年2月以来のレギュラーツアー優勝を目指しトレーニング、練習に励んでおり、飛距離に関しても今大会では初日から平均300ヤードを大きく越えて16位。ドライバー以外にもブラッシー(2番ウッド)を多用するなかでこの数字を残している。
米国男子ツアーの歴史上でも50歳をすぎてからのツアー優勝は過去7人のみ。そのなかで最年長が52年のサム・スニード(米国)で52歳。格段にレベルが上がっていてパワーゲームに突入しているツアーのなかで、ミケルソンのこの活躍がいかに抜けているかが分かる。
「マスターズ」3勝、全英オープン1勝、そして05年の本大会優勝とメジャー5勝を誇るミケルソン。
ニック・ファルド(イングランド)、リー・トレビノ(米国)に並ぶメジャー大会6勝目を勝ち取ることができるのか。1打差で追う“メジャーハンター”、ブルックス・ケプカ(米国)と2人で回るファイナルラウンド。元祖アメリカンヒーローのチャレンジに注目が集まる。