最近ツアーで、じわじわと人気を得ているのがフェース全面にスコアライン(溝)の入ったウェッジだ。キャロウェイの『PMグラインド』がその先駆けだが、近年はテーラーメイドの『ハイ・トゥ ロウ ビッグフット』やクリーブランドの『RTX フルフェイス』など、さまざまなメーカーが“全面ミゾ”のモデルを発売している。

“全面ミゾ”と普通のミゾのウェッジの違い【写真】
このフェース全面スコアラインは、元を辿ると全米プロゴルフ選手権で最年長メジャー覇者となったフィル・ミケルソン(米国)がキャロウェイに要望して作ったのが始まり。『PMグラインド』のPMはPhil Mickelsonから取られている。グリーン周りでフェースを開いてロブショットを多用するミケルソンの場合、打点がかなりトゥにくることも多く、そのため、ヘッドのトゥ側にも溝が入ったウェッジが必要となったようだ。
これは繊細なアプローチ技術を持つミケルソンならではの理由だが、一般ゴルファー向けに市販されていることを考えると、それとは違ったメリットがあるに違いない。その答えがゴルフ雑誌ALBA822号のなかで紹介されている。
ギアコーチの筒康博は“全面ミゾ”について、「どこで打ってもスピンが安定するのが第一のメリット。
それに加えて、打点が自然にトゥ寄りになるので、シャンクを未然に防ぐ効果もあります」と語る。
ゴルファー心理として、溝の入った面の中心でボールを打ちたくなるもの。通常の溝の入り方であればヘッドの中央よりもヒール寄りで打ちたくなるが、“全面ミゾ”はスコアラインの入っている範囲がトゥ側に広くなるので、打点がトゥ寄りになる。ウェッジで一番避けたいネックに当たるシャンクのミスを防ぐ意味でも理に適ったデザインなのだ。
それ以外にも、フェース全体に溝のラインがあることで、目標に対して真っすぐ構えやすくなることもメリットだと言えるだろう。まだまだウェッジの中ではキワモノ的な存在の“全面ミゾ”だが、それを補って余りあるほどのメリットもあるので、グリーン周りで悩んでいる人は一度試してみる価値がありそうだ。


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