渋野日向子の今季2勝目に沸く国内女子ツアー。今週は11月4日(木)から「TOTOジャパンクラシック」が行われる。
今年も残念ながら米ツアーメンバーは来ることができず、国内単独開催となった戦いを制するのは誰なのか。青木瀬令奈のコーチを務める大西翔太氏が展望を語る。
資生堂の“神メイク”でより美しくなったしぶこさん
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■前週と似ています、大事なのは横のブレが少ないこと
2019年以来、2年ぶりに瀬田ゴルフコース北コースへと戻ってきた今大会。かつてアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)が5連覇中4連覇を挙げたコースであり、18難に戻ってきてからの優勝者は畑岡奈紗鈴木愛。これだけ見ても実力者でなければ、名匠・井上誠一が設計した18ホールを攻略できないとわかる。
その難しさを生み出しているのが、井上らしい手前が低く、奥が高い“受けグリーン”。
奥に行くと難易度が一気に上がる。だが、大西氏が警戒するのが「横のブレ」だ。「縦距離ももちろん大事なのですが、そこは手前からいけばある程度徹底できます。それよりも大事なのは横のブレ。2メートルにつけても非常に難しく、外す可能性も十分にある。でも、スコアも出る。
いかにピンにデッドにいけるかがカギとなるでしょう」。攻めていかなければいけないが、精度がなければより難しいものとなる。
そんな受けグリーンの多さを含めて、先週の「樋口久子 三菱電機レディス」の武蔵丘GCと似ている部分も感じているという。「アップダウンが激しく傾斜地からのショットも求められます。また、歩いているだけで体力も奪われる。それが今週は4日間。
そこに高額賞金のプレッシャーもありますから、シンプルなスタミナも求められます」と左右にぶれないショットと体力がある選手が有利とした。
■2週連続、やっちゃいます
そんな戦いでの注目選手として真っ先に名前を挙げたのが渋野日向子。前週、最終ホールで2打差を追いつき、プレーオフでイーグルを奪って勝負を決めたシンデレラに白羽の矢を立てた。
「マスターズGCレディースで予選落ちもありましたが、直近7試合でそこを除けばすべてトップ10入り、2勝と絶好調です。そのマスターズのときもパターが決まっていなかっただけでショットはよかった。状態の良さは先週の勝ち方を見ても言わずもがなですよね(笑)」
スケジュール組もよい方向に行きそうだと続く。
「試合の前日入りにしてそこまでしっかりと自宅で体を休めたと聞きました。お会いした感じ前週の疲れもなさそうですし、もともとフィジカルの強い選手。さらにキャディも前週と同じ佐々木裕史さん。流れも分かっていますし、2試合目となってよりやりやすくなる。連勝に向けていい材料がそろっていると思います」と自身初の2週連続優勝に期待を寄せた。
■2つの若きプラチナが輝きを放つ
「フロックはない」という戦いだけあって、次のピックアップも好調の実力者。
「古江彩佳さんもいいと思います。3週連続優勝は逃しましたが、しっかりと3位に入っていました。もともとショットのブレが少ない選手。先週はグリーンが硬く、飛ぶほうでない古江さんにとって難しいところもありましたが、今週はそこまで硬くありません。持ち前のショットがさらに行かせる展開となりそうです」と勢いに乗る21歳を推す。
もう一人も同じ21歳のプラチナ世代・西村優菜。
「一時期調子を落としていましたが、先週初めてのディフェンディング大会というきっかけもあって復調しているように見えます。もともとフェアウェイウッド、ユーティリティでもデッドにピンを狙える選手。西村さんらしく、しっかりとボールを右で捌けるようになっていい球が出ているように見えました」。また、こんなところにも注目。「古江さんも西村さんも関西出身で、瀬田は何度も回っていると思います。そういったところも有利に働くのではないでしょうか」。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、10月12日には著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売。

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