【寄稿】健康ながさき21(第3次)が目指す「誰一人取り残さない健康づくり」|長崎県
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今回は長崎県の取り組みを紹介する。

長崎県の取り組み

アプローチ視点長崎県民がいつまでも健康で、生涯を通じて活躍できる社会の実現に向けて、身近な健康づくりである栄養・食生活の改善、歩数の増加、禁煙の推進などに取り組んでいます。これにより、生活習慣病の発症を予防し、長崎県健康増進計画(健康ながさき21)の最終目標である県民の健康寿命を延伸させ、SDGsにおける「3.全ての人に健康と福祉を」をはじめとした関連目標の達成を目指しています。実施内容本県の健康増進計画である健康ながさき21に基づき、生活習慣の改善、生活習慣病の発症・重症化予防、個人を取り巻く社会環境の整備を強化していく取り組み(令和4年度から、主に「はじめる!長崎健康革命プロジェクト」)を実施しています。

取り組み実施に至った背景

本県は、日本の西端に位置しており、古代から日本と大陸の架け橋でした。そして、江戸時代には、日本で唯一西洋に開かれた窓口として、異国の文化を受け入れながら多くの人と交流し栄えてきました。その後は、造船業の発展に伴い、タービンやボイラーなどをはじめとする産業用機械製造業や金属加工業が成長し、これらの業界の進展により、産業の基盤が形成されてきました。

しかし、全国よりも約50年早く1960年から人口が減少しており、最近の減少ペースは、毎年1万人程度で推移しています。また今後の推計では、2060年に79万人(2015年人口比△43%)まで減少することが推計されています※。特に働き盛り世代の生産年齢人口の割合が、2040年には50%を割り込むことも見込まれており、労働力不足や地域経済の縮小、公共交通・地域コミュニティの維持・確保等の問題が懸念されています。

それらの問題解決の一環として、日常生活に支障のない期間である健康寿命を延伸し、誰もがより長く元気に活躍でき、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる社会の実現が求められています。

また、2022年に開業した西九州新幹線により、沿線駅周辺のまちづくりの進展やロボット、IT関連産業などの新たな基幹産業化に向けた動きが進んでいます。これは100年に一度の大きな変化と言えます。
この地域活性化のチャンスを最大限活用するためには、こどもから高齢者まで全ての県民が健康で心豊かに過ごすことができる、包括的な健康づくりの推進が重要となります。

※出典:長崎県長期人口ビジョン(令和元年改定版)

実施している取り組み

本県では、21世紀における国民健康づくり運動である「健康日本21」の開始を受け、2001年に長崎県健康増進計画「健康ながさき21」を策定し、「自分の健康は自分でつくる」という基本的な考えのもと、市町や関連団体と連携しながら県民の健康づくり対策を進めてきました。現計画である「健康ながさき21(第2次)」においても、最終目標を「健康寿命の延伸」とし、取り組みを推進してきた結果、健康寿命は男女とも延伸しましたが、全国平均には及んでいない状況です。

長崎県民の生活習慣は、健康ながさき21(第2次)の目標値と比較して、栄養面では、野菜摂取量が不足し、食塩摂取量が多い状況です。その他にも、1日当たりの歩数が少ないことや喫煙率が高い等の健康課題があります。また、生活習慣病の罹患者も多く、特徴としては、循環器系疾患(特に高血圧性疾患)や糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人口10万人当たりの外来患者数が多い状況です。

本県の生活習慣に関する主な指標

項目性別本県の状況健康ながさき21
(第2次)目標全国順位野菜摂取量男性269g/日42位350g女性248g/日39位食塩摂取量男性10.5g/日11位8g女性8.7g/日6位歩数男性7,061歩/日34位8,695歩
(20~64歳)女性6,929歩/日14位7,690歩
(20~64歳)喫煙率男性35.3%43位12%特定健診受診率-48.8%46位70%※20歳以上男女の目標値
(出典:平成28年国民健康・栄養調査報告(厚生労働省資料)
令和3年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況)
※全国順位については、数字が小さいほど、良好な状況をさします。

人口10万人対患者数の全国順位(患者数が多い順に並べたもの)

項目入院外来心疾患、脳血管疾患などの循環器系疾患6位3位高血圧性疾患5位2位悪性新生物(気管支及び肺)6位10位慢性閉塞性肺疾患(COPD)25位2位糖尿病10位4位骨折1位23位注)年齢調整を行っていない数値
(出典:令和2年患者調査(厚生労働省資料))

これまでの各種健康づくり施策の推進により、いくつかの目標は達成されましたが、生活習慣に関する項目では、まだまだ課題が残っています。2018年度からは、「健康長寿日本一の長崎県づくり」を旗印に掲げ、県民の一人一人の健康づくりを企業・団体とともにサポートし始めました。この取り組みの一環として、「健康長寿日本一長崎県民会議」を設立しました。県内の保健医療の専門職団体、市町、マスコミ等が参画し、その中で、健康経営に関する講演や健康づくりの優良事例を行っている企業・団体を表彰する制度「ながさきヘルシーアワード」を実施しています。

2022年度からは、「はじめる!長崎健康革命」をキャッチフレーズに、「運動」「食事」「禁煙」「健診」を4つの柱とした健康づくりに取り組んでいます。

具体的には、県民が気軽に楽しみながら運動できるよう、「歩こーで!(ながさき健康づくりアプリ)」を2023年2月1日にリリースしました。
県内の主要スーパーマーケットの協力のもと、県内各地で血管年齢測定や骨密度測定の測定会を開催し、同時にアプリのPRブースを設置して周知啓発を行っています。また、アプリのダウンロード者が継続して利用するよう、たまったポイントで県産品等が当たる抽選会を開催しています。さらに、市町とも連携を図り、市町住民限定の抽選会も実施しています。

「歩こーで!(ながさき健康づくりアプリ)」その他、毎月8日(はちにち)を「減塩・野菜の日」として制定し、県民の野菜摂取量の増加と減塩に対する意識の向上を図る取り組みを実施しているほか、ヘルシーメニューや禁煙に取り組んでいる飲食店や弁当・惣菜店を「健康づくり応援の店」と認定し、これらの店舗の普及やPRキャンペーンを実施しています。

また、健康寿命の延伸に向けて県民に禁煙を促すため、2023年4月1日から県庁舎等の敷地内禁煙をはじめました。

このような一つ一つの取り組みが県民の健康づくりのきっかけとなることを期待しています。

今後の目標や展望

2024年度からは、本県の次期健康増進計画「健康ながさき21(第3次)」がスタートします。この計画の最終目標は、現計画に引き続き「長崎県民の健康寿命の延伸」です。目標達成のために、個人の行動と生活習慣の改善だけでなく、個人を取り巻く社会環境の質の向上が重要と考え、4つの大きな方向の一つに「社会環境の質の向上」を設定しました。社会環境の質の向上には3つの大きな主要目標があり、その一つは「誰もがアクセスできる健康増進のための基盤の整備」です。これには、行政だけでなく民間企業、関係団体、ボランティア団体などと連携して健康づくり施策を行うことが含まれます。また、生活習慣病が自覚症状のないまま進行することを考慮し、各個人が無理なく自然に健康的な行動がとれるよう「自然に健康になれる環境づくり」も目標に掲げ、健康づくりを推進していくこととしています。


このほか、社会環境の質の向上の中に「社会とのつながり・こころの健康の維持及び向上」を目標に掲げ、社会活動を行っている者の増加や地域等で共食している者の増加に向けた取り組みを推進し、孤独や一人で食事をする孤食等が少なくなり、社会参加の機会の増加により健康に良い影響が出ることを期待します。

目標達成のために、まずは庁内の部局を超えた横断的連携を見直し、これまで連携を図ってきた企業・団体はもちろん、新たな分野との連携を進め、誰一人取り残さない健康づくりに取り組んでいくことで、SDGsの「3.すべての人に健康と福祉を」をはじめその他関連するSDGsの目標の達成に寄与したいと考えています。

健康ながさき21(第3次)の方向性吉賀 章長崎県福祉保健部国保・健康増進課2005年長崎県国民健康保険団体連合会入職
2021年4月より長崎県福祉保健部国保・健康増進課派遣
主に長崎県健康増進計画(健康ながさき21)の計画推進全般を担当▼お問い合わせ先●長崎県 福祉保健部 国保・健康増進課●メールアドレス:S04750@pref.nagasaki.lg.jp●URL:https://www.pref.nagasaki.jp/bunrui/hukushi-hoken/kenkodukuri/kenkotyozyu/nagasakikennkoukakumei/本特集(サステナライズ寄稿)に関してはこちらからお問い合わせください。
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