
■10代LGBTQの2人に1人が、過去1年に自殺念慮。相談できる場の有無が影響
同調査で、10代LGBTQのうち、過去1年で53.9%が自殺念慮、19.6%が自殺未遂、42.2%が自傷行為を経験したことが明らかになった。日本財団の『日本財団第4回自殺意識調査(2021年)』と比較すると、10代LGBTQの自殺念慮は3.3倍、自殺未遂経験は3.6倍、自傷は3.7倍といずれも高いという。また、前回の「LGBTQ子ども・若者調査2022」と比較しても、自殺念慮+5.8ポイント、自殺未遂+5.6ポイント、自傷+4.1ポイントといずれも高いとしている。
過去1年の自死・自傷経験有無さらに、相談できる人・場所の有無について聞くと、「普段からセクシュアリティについて安心して話せる相手や場所がない」と回答したのは、10代が40.8%、20代が25.2%、30代が27.1%にのぼる結果に。
安心できる相談先の有無で比較すると、「ある」群の方が、自殺念慮は12.1ポイント、自殺未遂は5.1ポイント、自傷行為は9.8ポイント低いことが明らかになった。セクシュアリティについて安心して相談できる人や場所の存在が、LGBTQユースの自殺予防に重要な役割を果たしていることが示唆される。

■LGBTQユースは精神障害やひきこもりにおいてもハイリスク層
過去1年で心身不調・精神障害を経験したか聞くと、10代LGBTQの57.8%が「経験した」と回答。


■中高生の9割が過去1年で困難経験。うち6割超は教職員由来
中高生を対象に、過去1年の学校での困りごとを聞くと、89.5%が「困難やハラスメントを経験した」と回答。

■いじめ・不登校におけるハイリスク。しかし、LGBTQ学生の9割超は担任に相談できない
過去1年でいじめや暴力を経験したか聞くと、中学生の40.1%、高校生の24.0%が「経験した」と回答。

セクシュアリティを一度でも教職員に伝えたことがあるLGBTQ学生は31.9%に留まり、伝えなかった理由としては、相談できると思えなかった、他の先生や保護者に勝手に伝えられるのではと不安だったなどの理由が挙げられた。

■小学校教科書に掲載されても、3割しか保健体育で多様な性について教わっていない
性の多様性について、小学校の保健体育の授業で教わったと答えた中学生は31.0%にとどまる結果に。一方、「思春期になると異性に関心が芽生える」と教わった中学生は84.2%にのぼり、教科書に記載されていても、授業の中では多様な性について十分に取り上げられていない現状が明らかになった。

■9割超が上司にセクシュアリティを安心して伝えられない
過去1年で就労時に経験した困難やハラスメントがあるか聞くと、トランスジェンダーの77.9%、LGB等の63.8%が、職場において困難やハラスメントを「経験した」と回答。


■LGBTQユースの約9割が過去1年に差別的言動を見聞き、特にSNSの影響が大きい
LGBTQユースの87.0%が、過去1年に差別的な言動を見聞きしたと回答。特にSNSの影響が大きく、全体の74.2%がSNS上で差別的言動に触れていることが明らかになった。
調査対象:12~34歳の当事者4,925人(詳細は以下図の通り)
調査期間:2月10日~3月31日
調査手法:インターネット調査
調査対象詳細

認定NPO法人ReBit「【LGBTQの子ども若者、約5千名の調査公開】過去1年に、中高生の9割が学校で困難やハラスメントを経験し、うち64%は教職員が要因。10代の57%が自殺念慮を経験する等、喫緊な状況が明らかに。」