受験生を“みんな“で応援!『おうえんしナイト』
全国の受験生を応援するために、受験や教育と縁が深い、お笑い芸人・ランパンプスと一緒に様々な情報をWebコンテンツとして発信していく企画です。
全国の受験生を応援する『おうえんしナイト』、今回は東京都台東区にある「小野照崎神社」にやってきました。
渥美清さんが参拝した際に「たばこを辞める」と誓ったことで「男はつらいよ」の主演の話をもらった、という逸話で知られる小野照崎神社にてランパンプスが合格祈願に参ります!
――さて、それでは中に入って権禰宜の小野亮貴(りょうき)さんにお話をお聞きしましょう。
小林:初めまして。ランパンプスの小林です。
寺内:寺内です。よろしくお願いします。
小野:小野と申します。よろしくお願いします。
小林:さっそくですが、小野照崎神社さんのご由緒と創建の歴史を教えていただけますか?
小野:お祀りしている神様は小野篁公(おのたかむら)という実際に、平安時代の初期にいらっしゃった方になります。京都の公家の方なんですけれども、政治家、今で言うと閣僚をやられており、芸能が達者で、勉強ができて、いろんな逸話がある方です。
寺内:勉強ができる人なんですね。受験生にはピッタリですね。
小野:勉強も仕事もできるという逸話がたくさん残っています。
寺内:照崎は地名なんですね。
小野:はい。小野照崎神社(おのてるさきじんじゃ)という名前の由来は、小野篁公がお祀りされている照崎の神社ということなんです。時が経ちまして、江戸時代の中期頃に寛永寺を国策で建てようということで「上野の山にある神社やお寺を移動しなさい」というお達しが幕府から出された際に、現在の入谷の地に移ってきました。それが、ちょうど今から400年前くらいですね。
寺内:すごい歴史!
小野:京都ですと、京都御所の鬼門を封じるために比叡山延暦寺を建てて、鬼門封じをしましたが、江戸でも同じように鬼門を封じるために東叡山寛永寺を建てたんです。
寺内:上野が鬼門の方角なんですね。移動する前から合わせたら歴史はどれくらいなんですか?
小野:852年の創建になります。小野篁公がお亡くなりになられた年に、土地の人たちが照崎にお祀りしたのです。
寺内:亡くなられてすぐ、公家さんが神社で祀られることって、その時代はあったんですか?
小野:特別なことだったんじゃないかと思います。実際、なかなか「この人をお祀りしよう」とは思わないですよね? ですので、偉業を残され、多くの人に慕われた方が神様として、お祀りされるのでしょう。
小林:その時代のスーパースターだから「やっちゃおうぜ」みたいなことですもんね。ちょっと待って。えっ? 小野さん?
寺内:もしかして、小野篁公の御子孫ってことですか?
小野:そう言われています。立証しろと言われても難しいんですが(笑)。
寺内:852年前からだとしたら「小野」も広くなってますもんね。
小野:代々、小野照崎神社は小野家でお守りをしております。
小林:プレッシャーえぐいっすね!
小野:お役目なので。
小林:小野照崎神社にはどんな御利益があるんですか?
小野:学問、芸能、仕事の神様ということで広く崇敬をいただいております。中でも芸能という御神徳の神様は珍しいかもしれません。平安の初期に小野篁公の和歌が百人一首に選ばれているんですが、百人一首の和歌は、平安の前の時代か、平安中期以降の方が残したものが多く、平安初期では殆ど選ばれてないんです。というのも平安初期は和歌の時代じゃなくて漢詩の時代だったんですよ。
寺内:ブームがあったんですね。
小野:その頃は先進的な唐の文化、つまり中国の文化をどうやって取り入れるかの時代でした。仏教や法律など、諸々を唐から輸入して自分たちのものにしようという時代だったので、歌も漢詩で歌われていたんです。今ですと宮中の歌会始(うたかいはじめ)というと、和歌を読まれるんですが、平安初期は漢詩だったんです。
小林:知らなった。
小野:そんな中で和歌を詠まれて百人一首に撰されたということもありますし、漢詩は「白楽天」という、偉大な方がいるんですけど、その方と比類すると言われていました。本当に若くして逸話がすごく多い方で……どの話からしましょうか(笑)。
寺内:逸話が多すぎて定食屋で何食べるかくらい悩んでましたね(笑)。
小林:とりあえず唐揚げで(笑)。
寺内:やっぱり頭がいい、仕事ができるっていう逸話なんですか?
小野:そうですね。漢詩を書くというのは仕事に直結しているのですが、漢文を「麗しく美しく書く」という能力が高かったと言われています。
寺内:それが仕事なんですね。
小野:勅撰国史に「文章は天下無双」と残されています。
寺内:「美しい」っていうのがかっこいいですね!
小野:書もすごくお上手な方で、何でもできた方でした。お孫さんに小野道風(みちかぜ)という方がいるんですけども「書の三跡」と言われる方で日本の書を開発した人と言われております。
寺内:お孫さんもすごいんだ!
小野:小野小町も血縁だと言われています。
小林:えっ? 小野小町が血縁ですか? 小野小町知らない日本人いないですよね。
小野:まあ、小野小町自体が実在したかどうかという曰くつきの方なので、分かりませんけれども。
寺内:なんか欠点のエピソードとかないんですか? 虫が苦手とか(笑)。
小野:欠点は「不羈(ふき)」っていうんですけれども、あまりにもありのままに物事を言うので随分、その時の天皇から怒られたという話がありますね。
小林:今、僕はね、そういう政治家が欲しいんですよ! 忖度しない能力がある政治家が今必要なんです!
寺内:(笑)。
小野:ただ言い過ぎちゃったんです(笑)。
小林:それです! 聴く力じゃなく言う力が欲しいんだよ! こっちは!
寺内:そういうエピソードを聞くと一気に人間味が出てきますね。最初の話だけだと、神様だし、完璧な人だと思ったんですけど、急に愛着が湧きました。
小野:例を挙げますと、遣唐使の副使になっているんですね。
寺内:行ったってことですか?
小野:いや、行こうとしたんです。3回チャレンジをして3回とも嵐が来たり、船が壊れたりと挫折をしてしまったんです。そして、4度目の航海の時に、遣唐大使の船が壊れてしまい「副使の船と交換しよう」となったのですが「さすがにそれはないだろう」と言って怒って「僕は行かない」と(笑)。
寺内:確かに怒っても仕方がない(笑)。壊れた船に乗れってことですもんね。
小野:それで「お母さんがちょっと病気なんで」って言っていきなり帰っちゃったんです(笑)。
寺内:そんな会社員みたいに言い訳するんだ(笑)。
小林:神様がまだ人間だった頃の話ですからね。
小野:それで終わればよかったんですけど、京都に戻って「遣唐使は時代遅れだ!」とかを……。
小林:言っちゃったんですか(笑)?
小野:漢詩で風刺したんです。そしたら、それが見つかってしまって……さすがにこれは看過できないと。
寺内:副使が言ったわけですもんね(笑)。
小野:しかも天皇にすごい近い方でしたので流罪にされてしまうんです。
ランパンプス:ええっ!
小野:流罪はすごく重い刑だったんですが、その中にもランクがあって、一番重い「遠流(おんる)」という形で京都から瀬戸内海を通って島根県の隠岐の島に送られてしまったんです。
小林:相当怒らせたんですね。
小野:さらに財産など、いろんなものを取り上げられてしまったんです。
小林:それからどうなるの? だってもう無理じゃん。
小野:それが30代ぐらいの話なんです。
寺内:え? まだ30代ですか?
小林:ホリエモンみたいですね(笑)。
寺内:でも、ホリエモンもあそこからメルマガでまた立ち上がったからね。
小林:今やロケット打ち上げてんだからね。
小野:実際メルマガみたいな話でですね、旅立ちの時に「今から私は隠岐の島に流されます」と詠んだ歌が百人一首に撰されたんです。
小林:めっちゃ売れたんだ!
小野:それからも歌を詠いまくったんです。
寺内:そのときの自分の胸中とかをですか?
小野:それを全部和歌や漢詩にして、それが京都でバズったんです(笑)。
ランパンプス:バズり(笑)!
小野:「さすがにこれだけうまいこと言うやつは残しとかなきゃいけないんじゃないか」というような話になったかは定かではありませんが、極刑に一番近い遠流で飛ばされましたけど、たった1年2ヶ月程で恩赦され帰ってくることになったんです。
寺内:腕っぷしで戻ってきたと!
小林:平安のインフルエンサーだ(笑)。確かに学問と芸能にぴったりの神様ですね。
小野:普通の人じゃできないような話がいっぱいありましたけれども、それに輪にかけて、朝は朝廷で法律のお仕事をされて、それが終わったら夜は井戸を通って閻魔様の副官で冥界の裁きをしていたと言われています。
寺内:一気に神様っぽい話になった!
小林:ダブルワークだ! 人間界も冥府も裁きやってると!
小野:京都の「六道の辻」というところにある六道珍皇寺というお寺さんの井戸を通って行かれたと言われています。 あまりにも優れていたから、そういう伝承があるんでしょう。
寺内:僕らは芸人なんで、やっぱり渥美清さんのお話を聞くんですけど、実際の話なんですか?
小野:小野照崎神社と渥美清さんがすごく親交が深いという話ではないのですが、渥美さんがこの辺りに、お住まいになった時期に当社によくお参りに来られていたそうです。そして、渥美さんがお亡くなりになられた後、今から20年前ぐらいに芸能界の方から願掛けの話が出てきて、そこから今に至るという感じですね。
寺内:お亡くなりになってからあのエピソードが出てきたんだ!
小野:松竹の方に問い合わせたんですけど「もう亡くなっているのでわかりません」という回答でした。ただ、実際にお参りに来ていたという話は地域の方からも聞いています。
寺内:僕らの周りの芸人もこちらに来て、いろんなものを辞めてますよ。
小林:「お酒を家で飲むのは辞める」って宣言して、家から一歩だけ出て飲んでる奴とかいます(笑)。
小林:受験生におすすめの参拝の仕方などはありますか?
小野:受験ですと、学業や合格のお守りはありますけども、まずはきちんとお参りしていただくのが良いと思います。習慣にしていただいたり、節目節目にちゃんとお参りをしていただけると尚良いです。神様の前で背伸びをされる方はいらっしゃらないと思うのですが、神社は本当の自分の気持ちがわかる場所でもありますし、それをちゃんとお伝えする場所でもあるので、受験に向けて、気持ちの面で自分と向き合っていただいて「お願い」というよりは「頑張ります」と伝えていたければ。
寺内:宣言ってことですね! 「神様の前では背伸びしない」って言葉を初めて聞きました。確かに神様の前で「この前A判定模試で出たんですけど」って嘘ついてもしょうがないですもんね(笑)。
小林:最後に頑張っている受験生にメッセージをいただけますか?
小野:今までの日々の積み重ねが試される時だと思います。積み重ねてきたものは間違いないものですので、それをどう出すか。自分に負けずに、本番にちゃんとした心で臨んで、本来の力が発揮できるように、神社でお祈りをされては如何でしょうか。「最後は神頼み」と言いますけれども、心を整えに神社に、足を運び、手を合わせる機会を作っていただいて、立ち止まって振り返って「これは間違いない」「いけるぞ!」という気持ちで望んでいただけたら。
寺内:「心を整える」いい言葉ですね!
小林:本日はありがとうございました。
小野:こちらこそありがとうございました。
――様々な逸話を持つ小野篁公様を御祭神にした小野照崎神社はいかがでしたか?
小林:非常に人間味あふれる神様だなって思いましたね。エピソードの一個一個が面白かったですし、神様に対して親近感って言ったら失礼かもしれないですけど、実際、湧きましたね。
寺内:かっこよかったよね。言葉で世間を味方にしていくところがマジラッパーっすね(笑)。
小林:確かに! aka照崎! 20代で流刑にされて、自分の力でのし上がって神様にまでなるんだもんね。たたき上げゴッドだ!
※境内の猫と見つめ合う小林氏。
寺内:800年以上の歴史もあるから、最初はお堅い感じなのかなと思ったけど、すごく楽しい逸話がたくさんあって、地域の人たちに愛されているんだなって思いましたね。「神様の前では見栄を張らずに心を清める」という神社のあり方を再確認できました。自分を見つめ直す場として神社に行くのもいいなと思いましたね。
小林:日本人でよかったね。参拝しにいったとき、色んな末社もあったから、色んな御利益がありそうだよね。
寺内:みんなの合格祈願と合わせて僕も個人的にちゃんとお祈りしましたよ!
※受験生の合格を祈り参拝するランパンプス。
小林:なにを?
寺内:レギュラー番組決まりますようにって!
小林:渥美清さんのお話もあるぐらいだから、何か辞めてみたら?
寺内:……無駄遣いを辞めます。
小林:それはただの節約だよ! お金も溜まるし、レギュラー番組も決まったら2個も御利益あるじゃん(笑)。そもそも「無駄」って言ってんだから!
寺内:でも辞めます!
小林:そうですか。頑張ってね。
寺内:頑張ります!
※セカンドシーズンから御朱印帳担当となり気合の入った寺内氏。
小野照崎神社は学問と芸能に御利益のある神社でした。御祭神の小野篁公様も逸話の多いパワフルな神様でした。渥美清さんの逸話もありますので、学問のみならず、芸能に興味がある方も、お近くに立ち寄られた際は、是非、ご参拝してみてください。
さて、次回の『おうえんしナイト』は初めての体育大学、日本女子体育大学にて取材をしてまいります。ご期待ください!
小野照崎神社
住所:〒110-0004 東京都台東区下谷2丁目13-14
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