受験生を“みんな“で応援!『おうえんしナイト』
全国の受験生を応援するために、受験や教育と縁が深い、お笑い芸人・ランパンプスと一緒に様々な情報をWebコンテンツとして発信していく企画です。
受験生を応援するため全国各地を飛び回る『おうえんしナイト』。
今回、お伺いする大学は千葉県柏市にある気象大学校です。国土交通省管轄の省庁大学校であり、入学後は給料を支給されるという特殊な制度をとる大学。その実態に迫るため、ランパンプスがインタビューしてまいります。
――それでは、大学校内に入って教授(教務課長兼広報委員長)の蠣原弘一郎(かきはらこういちろう)さんにお話しを聞きに行きましょう。
蠣原:本日は、よろしくお願いいたします。
寺内:ランパンプスと申します。よろしくお願いいたします。
小林:早速ですが、気象大学校の創立の歴史を教えていただけますか?
蠣原:大正11年に気象庁の前身である中央気象台の測候技術官養成所ができたのが始まりです。気象の技術者の幹部養成の道を開き、優秀な人材を確保したいという考えのもとに作られた学校でした。
寺内:中央気象台の養成所だったんですね。
蠣原:今で言う大学である旧制専門学校の1つとして作られ、昭和37年に気象大学校という名になり、昭和39年から四年制の大学となりました。
小林:ずっと千葉県柏市にあるんですか?
蠣原:最初は中央気象台の敷地内にあったんです。
小林:気象大学校と聞いても本当に全然イメージ湧かないんですよ。
寺内:確かに耳馴染みないよね。
蠣原:よろしければパンフレットをご覧ください。
寺内:ありがとうございます。
小林:え? 入学すると給料を貰えるの?
蠣原:給料も貰えますし、ボーナスもあります。
小林:えー! やっぱり全く想像がつかない!
寺内:学生さんがお仕事してるってことですか?
蠣原:勉学という仕事ですね。実は、私も気象大学校出身なんですよ。
寺内:大卒だけど18歳から働いていたってことだ。なんか不思議!
小林:金額って公表されているんですか?
蠣原:人事院のホームページでも公表されています。今はだいたい月額17万円くらいですね。
小林:想像以上に貰えてる!
寺内:気象が好きじゃないと選択肢に入ってこないから、聞いたことなかったのかな?
蠣原:そんなこともないんです。例えば地震火山が好きで入ってきたり、数学や物理が好きで入ってくる学生も多いです。
小林:国土交通省管轄の大学って文部科学省管轄の国立大学とはどう違うんですか?
蠣原:先ほど申し上げた通り、給料が出ることに加えて、入学金、授業料が無料ということと、カリキュラムが教育課程と特修課程に分かれており、教育課程は、いわゆる大学設置基準に沿ったもので、そこは国立大学と同じだと思います。そこに加えて、特修課程という気象業務に直結した実習や演習があり、気象庁本庁や地方気象台に行ってインターンを行います。そこが大きな違いになります。
寺内:火山観測実習とかもあるんだ! 面白そう!
蠣原:実際に火山に登るんですよ。
小林:学生さんは一学年何人くらいいらっしゃるんですか?
蠣原:学年によってまちまちなんですけど全体で60人、一学年平均15人程度になります。
寺内:ええ! 狭き門! 四学年合わせて60人ってことですよね? ものすごいドエリートじゃん!
小林:60人しかいないんだったら、顔知らない人いないですよね?
寺内:僕がやっていた居酒屋のバイトよりも少ない(笑)。そりゃ優秀な面子だ!
小林:入試の方法はどんなものになるんですか?
蠣原:まず推薦入試はありません。
寺内:うわ、かっこいい! 腕っぷし一つなんだ!
蠣原:10月下旬に一次試験があり、12月中旬に二次試験があります。一次試験では記述式の数学、物理、英語の3教科ですね。それと、マークシート式の能力・学科試験が別にあり、さらに作文試験がございます。
小林:何人くらいが受験するんですか?
蠣原:最近ですと300人前後ですね。
小林:門、狭っ!
寺内:しかも、気象大学校を受けるのは優秀な子たちだけだろうから、選りすぐりの300人の中の選ばれし15人ってことですよね。
小林:一度、サラリーマンをしてから入学する方もいるんですか?
蠣原:高校を卒業してから2年以内という縛りがあります。
寺内:もう俺たち入れないんだ。悲しい!
小林:皆さん、気象予報士の資格を取られるんですか?
蠣原:気象庁への就職には気象予報士の資格は必要ないんです。趣味で取得する者はいますけど。
小林:趣味! めっちゃむずいって聞きますよ?
寺内:小学生で取ったとか、時々ニュースになってるから、すでに気象予報士の資格を持っている学生もいらっしゃるんですか?
蠣原:もちろんいます。
小林:優秀だなー。
寺内:60名の学生に対して26名の専任教師と10名の非常勤講師だって!
小林:他にスタッフさんもいるだろうから、一人当たりの教職員数はおそらく日本一だよ!
蠣原:ですので、学生は教員とマンツーマンで勉強をすることも可能です。
寺内:リアルマンツーマンだ! 蠣原さんが受験した時のエピソードとか覚えてます?
蠣原:私が受けた時は800人以上受けていたので、絶対受からないと思っていたんですよ。しかも、私の時は合格者が13人でした。
寺内:倍率60倍だ!
小林:なんで気象大学校を受験したんですか?
蠣原:母が新田次郎という作家(元気象庁の職員)のファンで、気象大学校の存在を教えてくれて、私は興味なかったんですけど、数学とか物理が好きだったので、練習がてら受けてみようと。そしたら、運良くひっかかったんです。
寺内:めっちゃ天気が好きってわけじゃなかったんですね。
蠣原:気象大学校の学生は基本的に卒業後は気象庁で働くんです。
寺内:そうなんだ!
小林:そこからなぜ教授になるんですか?
蠣原:教授になってくださいって言われたんです(笑)。
寺内:面白い! なんかすごいわ!
小林:「どんな分野に力を入れてるんですか?」って聞こうと思ったけど、そりゃ気象だよね(笑)。
蠣原:(笑)。気象もですが、それ以外にも地震、火山、気候、海洋など様々な分野があるんです。最近だと防災には非常に力を入れています。あと「キキクル」ってご存じですか?
寺内:見たことも聞いたこともないです(笑)。
蠣原:気象庁は職員が、スーパーコンピューターで数値予報といって天気予報の元になるデータを作ったり、業務で使うプログラムを自ら開発したり、災害の危険度をホームページからリアルタイムに確認できる「キキクル」というページも作っているんです。ですので、開発や情報処理にも力を入れてます。
寺内:確かにテクノロジーの最先端を活用する場ですもんね。
蠣原:科学技術に基づいて自然現象の監視・予測をしています。そういった技術官庁としての役割もありますが、防災官庁として社会学的な要素も必要とされていますね。
小林:途中で「やっぱ俺、音楽の道進みたいわ」みたいな学生はいないんですか(笑)?
蠣原:聞いたことはないですね。ただ、もっと勉強したいと言って卒業と同時に大学院に行く学生はいます。
小林:NSCはいない?(笑)
寺内:絶対に来ちゃダメ(笑)。この前、地震で「この1週間気をつけてください」みたいな期間あったじゃないですか? ああいったことも専門的に学んだりするんですか?
蠣原:南海トラフに関しては内閣府など、いろんな官庁が関わっていて、気象庁はその中で、科学的な知見から判断材料を提供する役割をしておりますので、その基礎になることを勉強しています。
小林:……実際、起きますか?
寺内:……近々。
小林:寺内さんに聞いてない(笑)!
寺内:やっぱり飲みに行った時とかに「なんでこんな雨多いの?」とか聞かれますか(笑)?
蠣原:聞かれます。「なんとかしてくれ」とも言われます(笑)。
小林:言われても困りますよね(笑)。
蠣原:予測はできても変えることはできないので(笑)。
小林:気象大学校に入学した時点で基本的には気象庁へ就職するとのことですが、卒業試験とかはあるんですか?
蠣原:きちんと単位を取って、卒業研究をやって、発表して、卒業していきます。
寺内:卒業研究って、他の大学だと研究室に分かれたり、ゼミがあったりして、各々テーマが違うと思うんですけど、一学年15人だと、どうやって研究するんですか?
蠣原:教員とマンツーマンで研究します。
寺内:そうなると教授も落としにくいですよね(笑)。
小林:いや、逆に落としやすいよ。「お前むかつくんだよ……あのこと覚えてるからな」とか(笑)
寺内:「覚えてんだぞ、俺は……さよなら」って(笑)? ないから!
小林:部活とかってあるんですか?
蠣原:あります。例えば野球部であるとか。
小林:でも60人しかいないんですよね?
蠣原:皆で掛け持ちしたりしています。
寺内:インカレみたいに他大学さんとの交流はあったりするんですか?
蠣原:それもあったりしますね。
寺内:そうやって補ったりしてるんですね。
小林:男女比はどうなっているんですか?
蠣原:今は女子学生が18名なので、3割くらいです。
小林:イメージよりは多いかも。
蠣原:女子学生の比率はその年々にもよりますが、上がってきているように思えます。学年によっては4割超えています。
小林:全員入寮と書いてますが、理由はあるんですか?
蠣原:初めて寮が作られたのが、関東大震災が起きた直後だと聞いています。その当時の中央気象台長がイギリスの全寮制のイートン校という学校を理想としていて、その精神を今も引き継いでいるんです。ただ、全寮制とは言っていますが、許可をもらって、自宅とかアパートから通う学生もいます。
小林:ホグワーツみたいですね! イギリスの全寮制の学校だし。
寺内:夜中にトラブルが起きて、呼び出されたりとかしないんですか?
蠣原:学生のことは学生に任せているので基本的にはないですね。大学校というと厳しいイメージがありますが、うちは本当に自由な校風なんです。
寺内:しっかりした学生が多そうだから問題も少なそうですよね。しかも、みんな顔見知りだし。
小林:でも、学力で学生を取るんですよね? だったら変なやつも来るかもしれない(笑)。
蠣原:二次試験で面接をするのでご心配なく(笑)。
寺内:学生の雰囲気、特色というか、どんな子が多いんですか?
蠣原:真面目で勤勉な子が多いですね。中には自由な子もいますけど(笑)。
小林:やっぱいた!
寺内:でも、コミュニケーションの面で言ったらそういう学生も必要だよね。
小林:18歳で入ったとして、そこからずっと同僚ってことですよね? 嫌なんだけど(笑)。
寺内:NSCも一緒だろ(笑)。
小林:教授がずっと上司ってことは、教授からしたら部下が入ってくるってことですよね?
蠣原:就職した後は、いろんな部署に分かれますので、部署の間でのコミュニケーションの中でも、知っている人がいると、すごく話しやすいですし、仕事もしやすいですよ。
小林:3年上、3年下までは顔見知りですもんね。ただ、恋愛とかしちゃったら大変じゃないですか? 普通は、学生時代に付き合っても、就職とかで別れちゃうけど、ずっと一緒なわけでしょう?
蠣原:私の学年には、女子学生が1名いましたけど、同期と結婚しましたよ。
寺内:それは素敵!
小林:どんな志を持っている方に来ていただきたいですか?
蠣原:もちろん気象や地震火山や、防災に興味を持ってる人にも来てほしいですし、単純に数学とか物理が好きで、地球上の自然現象を解明したいといった学生も多いので、いろんな分野で活躍したいという人にはどんどん来てほしいと思っています。
小林:卒業した後にどんな人材に育ってほしいですか?
蠣原:本当に幅広く、そして深く学んでますので、どの部署に行っても即戦力として活躍することが期待されていますが、私としては、気象庁の業務で一番大切なのは「国民の命を自然災害から守ること」だと思っています。なので、国民目線に立って将来の気象庁を考えられるような人に育ってほしいなと。
寺内:泣いちゃうよ。国民は支えられてんだよ。俺たちって、ただ生きてるだけじゃないんだよ。
小林:命預けます! お願いします!
寺内:大雨や地震の際に、気象庁の方が作業着を着て、緊急記者会見を開いて、正しい情報を素早く提供してくれるのは本当にありがたいことですよ。
蠣原:こちらこそ観ていただいてありがとうございます。
小林:警察官、消防士、自衛隊とかは身近で見えやすいけど、気象庁も国民の命を預かる仕事だよね。
寺内:一番、生活に密着して命に関わる仕事だよ。
小林:最後に、今、頑張っている受験生にメッセージをお願いします。
蠣原:受験勉強は大変だと思いますけれど、今、勉強していることが役に立つ日が必ずくるので、夢に向かってしっかり頑張っていただければと思います。
ランパンプス:ありがとうございました。
蠣原:こちらこそありがとうございました。
――さて、いつもは学食に行くのですが、気象大学校の食堂が営業停止中ということで、趣向を変えて職員や学生さんがよく通うといわれる清水庵さんへ伺いましょう。
寺内:私は、気象大学校の学生がよく頼むメニューの天丼セットをいただきます!
小林:カレーセットもよく出るって聞いたけど?
寺内:小林さんはルール上、カレー単品です。
小林:違うんだよ! 蕎麦屋さんのカレーが美味しいのは知ってんの! だけど、食べるものを決められるのが嫌なんだよ!
寺内:仕方ないでしょ(笑)。でも、お蕎麦屋さんで蕎麦を食べられるの嬉しいなー。
小林:蕎麦食べるの?
寺内:そりゃ、せっかく蕎麦屋に来たからね。
小林:天丼セットっておかしくない? 仕事なのに楽しもうとしてるじゃん。
寺内:担々麵も美味そうだよ?
小林:じゃあそれで……なんてことすら俺はできないんだよ。
寺内:小林さんには全国の学食のカレーを食べるっていう使命があるじゃん。しかも、蕎麦屋のカレーはなかなか食べれないからよくない?
小林:一度、じゃんけんに負けただけなのに……そんなにじゃんけんって重要かね? いや、もういい。俺、食べない。カレーしか食べられないならご飯食べない!
寺内:必死すぎるって(笑)。さて、天丼セットがきました。小鉢がどんどん来るぞ! 小林さん、なんかごめん(笑)。
小林:僕はカレー一皿です。
小林:ただ、今回は具が入ってる!
寺内:いつも入ってるよ(笑)
小林:それでは蕎麦屋の出汁カレー、いただきます。
小林:あ、美味い!
寺内:文句言ってたやつの顔じゃないよ。
小林:でも、そっちの食器が5個もあるのが、めっちゃ腹立ってきた。
寺内:束の間の喜びだったようです(笑)。出汁カレーも美味しそうじゃん!
小林:出汁の味がしっかりしててめちゃくちゃ美味いよ! しかも、米の量多くて学生も満足すると思う。
寺内:私も天丼セットいただきます! いや、お蕎麦食べられるの嬉しいですね。
寺内:このコシ! これは学食では食べられない味だわ。お蕎麦の香りも強いし! 美味い!
小林:てかさ、初めて来た蕎麦屋でカレーってなんなの? 何周かして飽きた人がカレー食べるんだよ!
寺内:蕎麦と天丼はもう風神雷神、最強タッグ! めちゃくちゃ合います。文句なし! 清水庵さん来たらやっぱり蕎麦を食べるべきだね! なのに……。
小林:「なんで蕎麦を食わないんだよ」みたいな言い方すんなよ!
寺内:蕎麦の量も多いし、エビなんて2つ入ってますから学生も満足の量ですね。
小林:車3時間以上乗って蕎麦屋に来てカレー頼むかね? ただ、蕎麦屋のカレーって美味いんだよなー。
寺内:どのメニューも手抜いてないね。全部に右ストレートの清水庵!
――学生数もカリキュラムも非常に特色のある気象大学校でしたが、いかがでしたか?
小林:こんな大学があるなんてまったく知らなかったけど、特殊な学校だなと思いましたね。学生が60人しかいないっていうし、蠣原教授がそこ出身だっていうし、教授は気象庁の人で、学生たちがある意味部下だっていうし。
寺内:受験勉強が就活なんだよね。
小林:今まで取材した大学の中でもかなりトップクラスで衝撃を受けましたね。給料が出て、ボーナスもあるのもびっくりしました。
寺内:さらに、少人数制でとか、講師が生徒の半分以上いるとか、海老天が2つ付いてるとか、本当衝撃でしたね。昼はセットが100円安くなるんですって。美味しかったな。
小林:いつのまに清水庵の感想が始まったんだよ! 話を大学に戻すけど、良い意味で色気がなかったよね。多くの学生を取り込まなきゃいけないとかもないしさ。
寺内:国立大学あるあるだよね。図書館かっこいいですとか、カフェ併設してます、みたいな必要がないからね。
小林:公立の高校よりも規模が小さいですからね。こういう選択肢もあるんだなっていうのを知ってもらえただけでも有益な記事になったと思う。
寺内:なかなか外に出ない情報だよね。意外性に富んだ気象大学校! おすすめです!
次回の『おうえんしナイト』は気象大学校の後編としてランパンプスが在学生にインタビューする様子をお届けします。
気象大学校
住所:〒277-0852 千葉県柏市旭町7丁目4番81号
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