六世野村万之丞(27)が主宰する『ふらっと狂言会』が10月20日、国立能楽堂で開催された。
六世野村万之丞さん
狂言は、室町時代から令和まで続く日本の伝統芸能で、中世の庶民の日常生活を明るく描いた、セリフが中心の喜劇。
『ふらっと狂言会』は、萬狂言に所属する若手狂言師によって半年に一度開催される狂言会で、今回で4回目。狂言に普段馴染みのない方や若い人たちに、“ふらっと”気軽に観にきて楽しんでもらおうと若手狂言師の三兄弟、野村万之丞、拳之介、眞之介が企画。観客は20代や30代の方も多く、外国人の方も2割ほど。

東村アキコ氏描き下ろしの記念撮影用パネル
公演の最初には演目の解説を取り入れ、演目で実際に使われる道具の使い方などを説明。また、公演の最後では野村万蔵家三兄弟が観客からの質問に答えるなどトークショーを展開した。他にも漫画家・東村アキコさんが三兄弟を描いた等身大パネルや、実際に狂言で使用される道具を使って写真が撮れるフォトスポット、そしてオリジナルグッズの販売も実施された。
30歳の男性は「初めてでもわかりやすくて面白かった」、26歳の女性は「また観に来たいと思った。話のひとつが短かったので、ちょうどいい時間で観ることができた」と述べた。

実際に狂言で使用されている道具を使った記念撮影も
企画した六世野村万之丞さんは、「普段の公演よりもフレッシュというか、大きく反応があるなというのを今回も感じまして、私たち演者だけでなくて、お客様も若返りというか、そういうふうになってきているのかなと思って、この公演をやっている意義を感じながら私たちも楽しく演じることができました」と述べ、「(狂言は)もともと本格的な公演か、子供向けの公演しかなかった。ちょうど中間の、自分と同世代の人たちを誘いにくい形があった。どうしても自分世代の人にオススメできるようなパッケージの公演を作りたいなと思っていました。

オリジナルグッズ販売も
また、今後の狂言の未来については、「狂言は、やっぱり面白いお芝居、昔から続いているだけではなくて現代でも笑えて楽しめるお芝居だということが浸透して、映画を見に行ったりとか、お笑いを見に行ったりとか、そういう感覚で狂言を見に行くっていうのがオーソドックスな形になっていくのがやっぱり一番の理想だなと。こちらも狂言に興味を持っていただけるような仕組みを考えて、初めて見る方をどんどん取り込んでいき、続いて見に行けるような形にしていきたい」と熱い想いを語った。