>>>『DEATH NOTE リライト2』の神秘的な関連ビジュアルを見る(写真2点)
2003年から『週刊少年ジャンプ』でコミック連載がスタート、2000年代を代表するマンガである大場つぐみ原作/小畑健作画の『DEATH NOTE』第2部の展開が描かれる。
名前を書いた人間を死なせることができるという「デスノート」を手に入れた大学生・夜神月(ヤガミ・ライト)は、救世主「キラ」を名乗り、正義の名の下にノートを使い次々に犯罪者に裁きを下していく。キラ=月の黒き野望を止めるべく、明晰な頭脳で数々の難事件を解決してきた名探偵・L(エル)がたちはだかるも、無念の死を遂げることに。
本作は、キラとしての正体を隠したまま二代目Lとしても活動を始めた月と、Lの遺志を継いでキラを追うニアやメロとの行き詰まる攻防戦が展開する。冒頭、Lと彼の右腕的存在であるワタリのナレーションによって第1部のストーリーが語られる構成になっているので、本作単独でも『DEATH NOTE』独特の世界を存分に楽しむことができるだろう。
そんなアニメ版『DEATH NOTE』を監督したのは、後に『進撃の巨人』で高い評価を獲得し、『ギルティクラウン』、『甲鉄城のカバネリ』、『バブル』などの意欲作を手掛けることになる荒木哲郎だ。
2005年にOVA『おとぎ銃士 赤ずきん』で監督としてデビューした荒木は、本作『DEATH NOTE』で初めてTVシリーズ監督に抜擢され、アニメファンの注目を集めることになった。
そんな荒木の若き日のフィルムをーーまだ荒削りながら非凡なセンスを感じさせる演出を味わうという意味でも、『DEATH NOTE』は必見の作品と言えるだろう。
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社・VAP・マッドハウス・NTV・D.N.ドリームパートナーズ
新鋭・荒木監督の冴え渡る感覚
荒木演出といえば、多くの人は『進撃の巨人』の立体機動に代表される圧倒的にダイナミックでスピーディーなアクションを思い浮かべるのではないだろうか。
大胆なカメラワークを駆使しながらもキャラクターにしっかりと焦点をあて、アクションに込められたエモーションを最大限に観客に伝えるのが荒木演出の真骨頂だ。
『DEATH NOTE』はいわばその出発点とも言えるが、しかし、本作は決してアクションに重点が置かれる作品ではない。
ストーリーのメインは月とLが、そしてニアやメロが繰り広げる頭脳戦。
それを荒木哲郎という演出家が映像にすることで生まれる化学変化こそが、アニメ『DEATH NOTE』の観る上での最大のポイントであり、面白さの ”秘密” でもある。
ノートに殺したい相手の名前を書く。
これがいわば(そして「まさに」)月にとっての ”必殺技” であり、作中でも大きな見せ場となる。
そこで荒木は、月がデスノートに書き込むシーンをケレン味たっぷりに演出する。
荘厳な劇伴に合わせて大胆にカメラを動かし、ペンを走らせる月の動きもオーバーアクションで描き、ノートに文字を書くだけの行動がまるで戦闘シーンのように表現される。
それによって、スリリングであると同時に突き抜けたコミカルさやユーモラスさえも感じさせ、それでいて「月という人間が今、まさに人を殺している」という事実を強烈に印象づける。
非アクションをアクションとして演出することで生まれる強烈な違和感を、フィルムのエネルギーに昇華することで荒木は、『DEATH NOTE』の原作が秘めていたポテンシャルをさらに増幅し、観客に伝えたと言えるのではないだろうか。
今回の『DEATH NOTE リライト2 Lを継ぐ者』を通じて、そんな荒木演出の魅力をたっぷりと堪能してほしい。
(C)大場つぐみ・小畑健/集英社・VAP・マッドハウス・NTV・D.N.ドリームパートナーズ