メインキャストである主人公・志村光太役・丹波哲士さん、そして光太と共に動画配信を行う金子亨(カネゴン)役・岡本信彦さん、光太に憧れる同級生の八潮秋役・ファイルーズあいさんに、物語の魅力や収録現場の雰囲気について訊いた。
――まずは原作コミックを読んだ感想からお聞きできますか。
丹羽 読む以前から「主人公・志村光太が成り上がっていく物語」と聞いていたので、志村が突然能力に覚醒し、圧倒的な強さで相手を倒していく物語だと思い込んでいました。なので、実際に原作を読み進めた際は予想との違いに驚かされました。志村は毎回ボコボコにされながらも、泥臭く努力を重ねて強くなります。そんな彼に感情移入し、読んでいて心が熱くなりました。
岡本 僕が最初に想像していたのは、主人公が格闘技系の部活を巡り、そこにいる選手を倒していく話でした。そこに動画配信という要素が入ってくるとは予想しておらず、そこにまず新鮮さを感じました。
同時に、志村が努力して強くなる様子には「自分も志村のようになれるかもしれない」と思わせる力があるという印象を受けました。
ファイルーズ 私自身、原作者であるT.Jun先生が手がけた『外見至上主義』の愛読者なんです。先生の作品は登場人物がリアルで実在感がある。その魅力は本作でも健在だと感じました。
加えて、人の殴り方すら知らない志村が一から技を習得していくところも本作の特徴だと思いました。格闘技に精通していない私でも、読みながら志村と共に勉強していけたのは楽しかったです。
――ファイルーズさんの話にも少し出ましたが、皆さんは格闘技に馴染みはあったのでしょうか?
丹羽 僕は両親が血を見るのが苦手だったので、子供時代は格闘技を観た記憶がほぼありません。大人になってからは配信などで時々観ますが、あまり詳しいとは言い難いぐらいなので、本作をきっかけに格闘技に詳しくなりたいと考えまして、少し前からボクシングを習い始めました。
岡本 僕は父親がアントニオ猪木さんの大ファンということもあり、子供時代はプロレスを観て育ちました。学生時代にはK-1ブームが訪れたので、魔裟斗さんや山本”KID”徳郁さんの試合は熱心に追っていましたし、今はRIZINをよく観ています。
ファイルーズ 実は私、今作に出演が決まる前から格闘技を習いたいと考えて、下調べを進めていたんです。なので、出てくる格闘技はほとんど知っていました。ただ、ルールや各格闘技の特性までは把握していなかったので、それを『喧嘩独学』で知れたのはよかったと思っています。
出演が決まった後から、ブラジリアン柔術のレッスンに通っています。まだ初心者ですが、いつかは趣味の欄に書けるレベルにまで上達したいです。
――ご自身が演じるキャラクターの印象と、ご自身との共通点を教えてください。
丹羽 やはり「暗い」という面に最初は目がいきました。僕自身も少し暗いタイプで、あまり友達もいなかったので、そこは共通点だと感じました。その一方で志村には現状から抜け出そうと努力する健気さも見てとれるので、それは見習いたいと思いました。
岡本 カネゴンは正直、第一印象は最悪でした……自分が弱いくせに他人の権力を使ってイキリ倒す卑しい人間だと思った。ただ、物語が進むにつれて友情に熱いところや、プライドを持って強者と相対する瞬間も見えてくる。
僕は彼のことを周囲の評価ばかり気にする ”キョロ充” と評しているのですが、そこは学生時代の僕とも似ている気がします。
ファイルーズ 私が演じる秋はカネゴンとは真逆、周囲からどう見られているかに全く頓着がない自然体の子なんです。それ故に自分の好きなものには脇目もふらずに熱中できる。その何かにのめり込む姿は私と似ていると思いました。
あと、好きなものについて語る時に早口になるところも、私と似ているかもしれません。
――本作序盤でカネゴンと秋は志村のことをどう見ていたと思いますか?
岡本 カネゴンは最初、志村のことを「利用価値のある存在」程度に思っていたのではないかと。ただ、カネゴン自身には人の魅力や才能を敏感に感じ取る能力があるので、志村の中に光るものを見出しており、無意識下で彼のことを評価していたとも思うんです。だからこそ状況が変わった瞬間に、志村と手を組むという判断が瞬時にできたのではないかと思っています。
ファイルーズ 同じく秋も、最初から志村に光るものを感じていたと思います。ただ、それはスカウトマンが良い選手を見つけた時に近い、”才能を感じる”といった感情に近かったんじゃないかと。その感情がどう変化していくかは……放送で確かめてほしいです!
――丹羽さんは今作で初座長となります。収録現場はいかがですか?
丹羽 緊張しています。収録も僕が一番時間がかかるので、他のキャストの皆さんに見守られながら必死に演じています。
岡本 僕はあまり丹羽くんが緊張しているのを感じないんです。僕が丹羽くんぐらいの時はもっとガッチガチだったので、丹羽くんを見ていると「すごくしっかりとした子だな」と思います。
ただ、さっきの写真撮影の時は見ていて「緊張しているな」とは思いましたけど(笑)。
丹羽 すみません……あまり写真を撮られ慣れていなくて……。
岡本 そういうのも、これから慣れていくと思う(笑)。
ファイルーズ 丹羽くんはまつ毛が長いから、撮影の時は少し顔に角度つけるといいと思うよ。そうすると写りがいいと思う!
丹羽 そうなんですね、ありがとうございます!
ファイルーズ 私から見た丹羽くんはとにかく謙虚で、お芝居に熱心な方という印象です。自分が演技しない時もアフレコブースに入って演技を見たりしているんです。そういう姿勢を見ていると、私も初心を取り戻さなければと思わされます。いい刺激をもらっています。
――丹羽さん自身、スタッフの方と話す機会も多いかと思いますが。
丹羽 そうですね。特に音響監督の濱野高年さんとはかなり密にコミュニケーションを取らせていただいています。その中で演技面はもちろん、アニメの作り方もすごく丁寧に教えていただけていて、毎週すごく勉強になっています。
――岡本さんとの掛け合いはいかがでしたか?
丹羽 岡本さんの演技に引っ張ってもらいながら、収録を進めている感じが強いです。第1話から岡本さんがカネゴンになりきって演技をしてくださったので、僕自身も本気でカネゴンにイライラしながら演じることができました。貴重な体験をさせていただいていると感じています。
――その辺り、岡本さんとしては狙い通りという感じなのでしょうか?
岡本 特に第1話のカネゴンは本当にひどいクズ以下のクズなので、人間の卑しい部分を思いっきり込めて演じていました。その一方で、彼の魅力的な部分が見えてくる時との整合性を考えないといけないとは思っていましたので、悪意を込めず、深い考えなしに酷いことを言ってしまう感じは出そうと意識していました。
ファイルーズ 私、第1話のカネゴンがすごく好きなんです。志村と蔑み合っているところなどは、お互いの醜い部分を引き出し合っていている感じがして見ていて癒されます。
共に行動原理が ”お金” で似た者同士なのにも関わらず、お互いが内心「あいつとは違う」と思い合っているのもいいですよね。そんな二人の関係はその後、果たして……! というあたりも楽しみにしていただきたいです。
――最後に放送を楽しみにしている皆さんにメッセージをお願いします。
丹羽 魅力的な原作が映像化され、アニメならではの描写により立体感が加わって、面白い作品に仕上がっています。特に今辛い気持ちに陥っている人には、勇気をもらえる作品だと思いますので是非観ていただきたいです。
岡本 丹羽くんの言うとおり、どん底の気持ちの人には是非観てもらいたいです。本作で志村が頑張っている姿を見たら「自分も行動を起こそう!」という気持ちになれると思いますから。
加えて、動画配信などが好きな人が楽しめる要素も盛りだくさんなので、是非楽しんでもください!
ファイルーズ あと、今作で注目してほしいのはアクションシーンです。アクションディレクターさんを迎えて、こだわりの描写になっているので刮目してほしいです。
マンガでは見ることが叶わなかった ”戦闘時の動き” は迫力あるものとなっていますので、楽しみにしていただければ!
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