読者に人気のアニメ作品から、期待の声優に作品や役柄について語ってもらう雑誌「メガミマガジン」のインタビュー企画「Megami’sVoice」。2026年8月号では、テレビアニメ『いびってこない義母と義姉』より、中村美冶役・鈴木日菜のインタビューをお届け。
本稿では、本誌で紹介できなかった部分も含めたロングインタビューとなっている。

個性的な義母や義姉を立てられるように
――まず、『いびってこない義母と義姉』(以下『いびこな』)という作品の印象を教えてください。

もともと、原作のおつじ先生の別のマンガを読んでいて、『いびこな』もSNSにアップされていたころから知っていました。とても展開のわかりやすいコメディで、何度読んでもおもしろいなと感じていました。アニメでは音や動きがついて、美冶ちゃんのリアクションをはじめ、コミカルな部分がよりいっそう楽しめるのだろうなとワクワクしました。

――鈴木さんは、美冶役が初主演になるそうですが、役が決まったときは驚きと喜び、どちらが強かったですか?

メールで連絡をいただいたときは、信じられなくて5回くらいメッセージを見直しました(笑)。そのくらい驚きが強かったですし、テレビアニメのレギュラーが初めてということもあり、一気に緊張感が増し、その後、うれしさがわいてきました。

――主演としての実感は、いつごろにわきましたか?

台本をいただいてからかもしれません。役が決まってからアフレコまで少し期間があったこともあり、なかなか実感がわかなかったんです。台本の香盤表の一番上に自分の名前があるのを見て、「私が美冶ちゃんを演じるんだ」と実感できた気がします。

――初回の収録は、やはり緊張しましたか?

とても緊張して、ガチガチでした。そんな私をマミー(義母のてる)役のくじらさんがハグしてくださり、涙が出そうになって力が抜けたんです。
まさにリアルマミーのような方だなと、安心することができました。

――オーディションだったそうですが、美冶にはどんな印象がありましたか?

とにかくすべてのことをまっすぐに受け止める女の子だという印象でした。これだけ善性を持ったキャラクターもなかなかいないのではと思うほど、根っからの善人ですし、汚れたところがないんです。庶子ということもあって、相手を気遣いすぎては自己評価が下がっていますが、自分を卑下しているわけではなく、あるべきところで生きていこうという覚悟が決まっている。そのたくましさを尊敬しています。

――オーディションの段階では、どんな役作りをしていこうと考えていましたか?

卑屈にならないよう、暗くなりすぎないように意識しました。あまりに暗くなってしまうと、お姉さま方が何もしていない段階から、いびられていそうに見えてしまうと思ったんです。そのうえで、驚きなどの感情は素直に、ダイレクトな気持ちを込めて表現することを心がけました。

――アフレコに入ってから、お芝居に変化はありましたか?

マミー(てる)やお姉さま方をはじめとするパワーのあるキャラクターを引き立てるのも美冶ちゃんの役目だと思っていて。やりすぎないことを大前提として、家族愛を持ち、言葉にトゲが出ないように、より気をつけるようになりました。また、美冶ちゃんは「え~……」と引き気味のリアクションをするのですが、そこは毎回、違ったお芝居になるように意識しています。ただ、美冶ちゃんを演じる際に一番大切なのは素直なリアクションだと思っているので、その点はオーディションのころと変わらない気持ちです。
それから、いびられるのではないかと怯えるパートでは、オーバー気味に縮こまるお芝居をするようにしています。

――印象に残っているディレクションはありますか?

基本的には「思いきり、自由に演じてください。絵は気にしないでください」と言われているので、のびのびとお芝居をさせていただいています。ただ、第1話の鴻蔵家に入るまでの過程で、「なるべくかわいそうに聞こえるように演じてほしい」とお話があったんです。そのときは、美冶ちゃんのイメージが暗くならないように意識していたのですが、「もっと憐れみを感じさせるようなお芝居を」とお話いただき、自分の想像とは少し違っていたなと感じました。

――美冶に共感できるところや似ているなと感じるところはありますか?

美冶ちゃんは自分が置かれている場所でどうがんばるか、自分が持っているものでどうするかを考える傾向があると思っていて。自分も、環境を前提にどう動くかを考える節があるので、そこは共感できます。また、素直に驚くところも似ているなと感じます。

――もしかして、エイプリルフールでだまされるタイプですか?

だまされます(笑)。友人に「転校する」と冗談を言われたときは真に受けて泣いてしまって。「そんなに!?」と逆に驚かれました。

――美冶にあこがれるところは?

その善性と、周囲を見て気配りができるところは見習いたいです。
私はどうしても自分のことでいっぱいいっぱいになりがちなので、人に寄り添えるところがすごいなと思います。

――義母のてる、義姉のまりか、ありさへの印象を教えてください。

マミーは、この人にできないことはあるのかと思うくらい、知識が豊富で懐が広く、とにかくカッコいいです。まり姉ちゃんさま(まりか)は、とてもかわいい人です。すべてに全力投球で自信があり、華やカリスマ性も持っている。その反面、不器用なところが愛らしいです。あり姉さま(ありさ)もあり姉さまで、器用そうに見えて不器用なんです。落ち着いているように見えて、いざとなると「大丈夫かしら?」と不安を抱えるところも、愛おしいなと感じています。

――2人が美冶を取り合う関係になっているところもおもしろいですよね。

そうなんです。「私のために争わないで!」を人生で初めて経験したので(笑)、毎回アフレコでは2人の争いを楽しく聞かせていただいています。美冶ちゃんは「やめてください!」とオロオロしますが、鈴木個人としてはうれしい気持ちです。


――鴻蔵家の人々を演じるキャストさんのお芝居の印象は?

くじらさんは、とにかくおもしろい方です。パワフルなところはパワフルにしつつも、ふとした瞬間に抜けたリアクションをしてくださることがあって。その緩急によって、マミーの魅力がさらに増しているなと感じます。まり姉ちゃんさま役の芹澤優さんは、ご本人もお芝居にも華があるんです。とんでもないところから声を出すシーンが多いのですが、マミーとは違ったおもしろさがあるなと感じています。貫井柚佳さんのあり姉さまのお芝居でとくに好きなのか、「お母さま!」と驚いたときの声の裏返り方なんです。金切り声にも近いのですが、どこから出ているんだろうと思うくらいの響きがおもしろくて。普段の冷静なあり姉さまからは想像もできないリアクションで、とても素敵なんです。

――鴻蔵家に欠かせない存在として、愛犬のグングニルもいますね。

グンちゃんは声が出せないイヌなのですが、とても表情豊かですし、声が出ないながらリアクションなどを的確に演じられる麦穂あんなさんのお芝居が職人技だなと感じています。

――アフレコ中に印象的だった出来事はありますか?

毎回、原作の一迅社さんから、お話の内容に沿った差し入れがあるんです。キャスト一同、次のアフレコでの差し入れは何かと想像するのも楽しかったです。


――物語の見どころを教えてください。

第1話、第2話は、いびってくるかもしれないという緊迫感と、「いびってこないんかーい!」とツッコミたくなるような抜け感がテンポよく描かれる、まさに『いびこな』カラーが全開だと思います。まり姉ちゃんさまの「はぁ~!?」という呆れのセリフから、怒られるのかなと思いきや違った流れになり、マミーの「お前たち」で緊張が走ってさらに意外な展開が来る。「あらあら」とオチを担当してくれるあり姉さまの縁の下の力持ち的なところも見ていただきたいですし、何より、美冶ちゃんが自信をつけて3人からの確かな愛情を知る過程も見どころです。悪役が出ない作品ですので、疲れていたりくすっと笑ったりしたいときにぜひ見ていただきたいです。そして、鴻蔵家のワチャワチャとした日常を楽しんでいただければと思います。

MegamiにQuestion
Q.自分のチャームポイント
A.よく笑う
お箸が転がったら笑ってしまうくらいに、笑いへのハードルが低いんです(笑)。笑いどころばかりの『いびこな』の収録では、毎回こらえるのに必死です。

Q.自分のニックネーム
A.おひな
学生時代に「おひなさま」から「おひな」と呼ばれるようになりました。ほかにもいろいろな呼び方をされるのですが、「おひな」が一番定着しています。

Q.自分の声の特徴
A.天然水のような声
自分で言うのは恥ずかしいですが、友達やマネージャーさんから、透明感があると言っていただくことが多いんです。なかでも「天然水のよう」と言われたことがうれしくて、印象に残っています。


Q.自分の性格
A.のんき
緊張もテンパったりもしますが、「なんくるないさー」(沖縄の言葉で「なんとかなるさ」)の精神で過ごしていることが多いです。以前、スマートフォンをなくしたときも、一瞬慌てたのですが、「なんとかなる」と落ち着いてしまって。その後、交番に届けていただいていたのですが、そう構えられるところがのんきだなと感じます。

Q.いま、ハマっているものは?
A.麻辣湯
辛いものは苦手なのですが、友達が食べていたときに興味本位でひと口もらったら、意外と美味しかったんです。当初は麻辣湯に入っている魚卵団子目当てでしたが、繰り返し注文するうちにハマりました。

Q.ついかまいたくなるものは?
A.弟
弟を見かけると、ついちょっかいを出したくなるんです(笑)。なので、『いびこな』のまり姉ちゃんさまやあり姉さまの行動には共感できるところが多いです。

Q.初めての経験で印象に残っていることは?
A.バンジージャンプ
頭のてっぺんから魂が抜けていくような感覚がありました。バンジージャンプは、やったことがないけれどやってみたいことをリスト化していたときに、1回くらいは飛んでも損はないだろうと思ったんですね。飛ぶ前には膝が震えて自分に恐怖心があることがわかりましたし、終わると笑いが込み上げてきたことをよく覚えています。ただ、もう1回飛びたいかと言われたら、飛びたくないです(笑)。

Q.本作のキャッチフレーズ
A.コワ面の裏にはほっこり愛
メインビジュアルからしても、鴻蔵家の皆さんはちょっと顔が怖いのですが、その裏にはほっこりとした愛があるんです。そのギャップを、ぜひ楽しんでいただきたいです。

Profile
すずき・ひな/2月12日生まれ。埼玉県出身。マウスプロモーション所属。
主な出演作は、ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』アドマイヤグルーヴ役、『ブルーアーカイブ』河駒風ラブ役など。

作品Information
毎週水曜日夜11時30分よりtvk、テレ玉、チバテレほかにて放送中
https://ibikona-anime.com/
とある名家の庶子で、母と2人で暮らしていた中村美冶。ある日、母が他界したことで、父の家である鴻蔵家の本家に引き取られる。妾の子である自分に、義母のてる、義姉のまりかとありさは厳しく接してくるはずと覚悟を決めていた美冶だったが、3人は少しもいびってこず……!?

(C)おつじ・一迅社/「いびってこない義母と義姉」製作委員会

●取材・文/野下奈生(アイプランニング)
編集部おすすめ